アイカツフレンズ! 1年目を終えて
大変長らくご無沙汰しております。北大路さくらです。
前の記事を書き終わっていないのに(力尽きた)新しい記事を書くなど行き当たりばったり感が否めませんが、放送から1年が経っての感想を記します。
書き物をするにはコーヒーと紅茶をそれぞれマグカップ1杯ずつ投入しないとカフェインブーストがかからないのでなかなか厳しくて…
評価軸
感想を考えるにあたって思い返すポイントは3つ
1.キャラクター
2.ストーリー
3.楽曲
厳密にはこの3つは相互に作用しているので分けて語るべきものではないのかもしれませんが、読みやすさのためにもざっくりと分けて記述することとします。
1.キャラクター
2人1組の「フレンズ」というシステムの恩恵、程良い登場人数もあってか、ほとんどのキャラクターの情報が早期にしっかり頭に入ってきました。
メインのアイドルが
あいね・みお・エマ・舞花・さくや・かぐや・カレン・ミライ この8人。
程々に登場するサブキャラが
ココ・たまき(マネ)・ケン(メイクとレッスン)・千春(ドレスデザイナー)・ぺんね
この程度ですかね。
前作「スターズ!」では1年目のうちアイドルだけで
ゆめ・ローラ・小春・あこ・真昼・ひめ・ツバサ・夜空・ゆず・リリィ・(結城すばる)・(芦田有莉)
と、物語の本線に関わってくるキャラクターでこの量。
少なく見積もって10人、それに結城すばるが特に多いですがM4なんかもガッツリ出しているので明らかに描写不足でした。出し方も最初にワーッとかなりの人数を見せてしまった上にユニット制などではなくほとんど個別にキャラが「独立」していたため、今後1人ずつ説明回があるとはわかっていても「今覚えておくべき情報か否か」の取捨選択ができず気持ちが散らばってしまった気がします。
また、キャラとキャラの関係性(ライバル・親友・会話相手・恋敵・師弟関係…)もかなり複雑で全体像を把握するまでに少し労力を要しました。
体感では「episode Solo」という曲名が示すように、1人1人のキャラクターとしてのキャラ立ちが強いためまずは個人の掘り下げを、そして他キャラとの関係性をと「語るべき内容」「語って欲しい内容」が多かったのですが、主人公格以外は時間的制約もあり出てこないことが多くちょっと描写不足かなと感じるところがあります。
初期の無印アイカツ!1年目では
いちご・あおい・蘭・おとめ・ユリカ・北大路さくら・かえで・美月
ジョニー別府・織姫学園長・星宮りんご
この辺りを抑えておけばよい上、最初はいちご・あおい・美月の3人に始まり、基本的に説明回兼登場回で1人ずつ増えていくので注目キャラへの意識が散らばることなく無理がなかったです。
また、関係性の構造が
憧れ:(マスカレード)>美月>その他全員
普段:大体何事もいちごが中心にいる
とわかりやすかったため、殆ど余計なことは考えなかったです。
話が脱線しますが、この辺りの違いが今でも根強くスターズの二次創作が盛り上がっている要因になっているのですかね。
関係性のベクトルがかなり多地点・多方向に分散しているので、それぞれのお気に入りがあったり、他の関係性との結びつきを創作したり…広義の群像劇のようなイメージで、起終点が沢山あります。
私はその為に「もっとここ掘り下げて欲しかった」という思いが結構強いのですが…
さて、話を本題のフレンズに戻して。
フレンズは当初あいね・みお・カレン・ミライの4人体制で始まり、早期にエマ・舞花が合流。少し空いて、といえどもそこから数ヶ月でさくや・かぐやが合流しこれでメインアイドルは打ち止め。2クールを終える前にアイドルが総登場します。
1年が経過して、表題にもなっているのだから当然かもしれませんが、2人1組の「フレンズというシステム」の恩恵を強く感じました。
登場は1組=つまり2名のお顔見せとさわりを1話で済まし、個別回を2回(人数分)やってという形なのですが、フレンズというシステム上個別回にも基本的にフレンズの相手(の話)が自然と出てくるため、キャラクターのパーソナリティをシステマチックな説明だけでなく、フレンズの相手との関係性・相手の言葉からも相互に掴むことができます。
・毎週新キャラを2名同時進行で見せ続けられる
・フレンズの相手との対比でより鮮明にキャラクターの輪郭を捉えられる
印象としてはこう。
結果として最初からロスなく、そして効率的にキャラクター付けをこなせたのかと思います。
更に関係性もわかりやすく「フレンズを組む2人」「フレンズと別のフレンズ同士」でベクトルが描かれることがほとんどなので、実質的にベクトルの数をキャラクターのおおよそ半分まで落として物語を理解することができます。
基本的にアイカツフレンズ!に登場するアイドル個人は(自身のフレンズ以外)相手によって態度を変えたりといったことがないので、フレンズをまたいだ個人間のことは特に考えず、ニコイチのフレンズ間の関係性だけで殆ど完結します。
この辺りのシンプルな構造も、キャラクターを理解していくためのハードルが低く心地良かったのかなと思います。
ここまでほぼ描かれていないフレンズをまたいだ個人同士の関係性については、必要ならば時間的余裕ができるであろう2年目にやればいいですし、ないならないで構わないかなという考えです。
公式がお腹いっぱいフレンズ内の2人の痴話喧嘩やら新婚生活を供給してくれるので、現在の供給分で十分だと考えています。
またフレンズ外の別の個人への感情はフレンズ間の感情を超えることは理論上ない(ストーリー的にフレンズを解消するとかなら話は別ですが)ので、描くだけフレンズ関係の下位互換で野暮ったい気がします。
ここまではキャラクターの登場のさせ方に焦点を当ててきましたが、いわゆる「キャラ萌え」的な、もっと単純に個別のキャラクターを見た時の印象についてを。
この辺りは過去記事でも語っているのですが過度な補正でヘイトを集めがちな主人公ポジションをほぼ嫌味なくこなした友希あいねという人間のシンプルな魅力と、正妻ポジションにいたい陰キャ・湊みおの内向きすぎるオタク思考など十分にキャラクター個人も面白いです。
ゴシック姉妹のかぐやのように批判的・常識的な態度が際立つ(但し姉のことになると非常識な部分が垣間見える)スパイスキャラがいたり、狙ってピエロ役をやりながらも全ての物事を鳥瞰している群像劇におけるジョーカー的な明日香ミライがいたり、ドジな人工知能がいたり、一般的な作品と同じレベル程度には推しキャラは見つかるかと思います。
私はずっと神城カレンが好きです。
2.ストーリー
1年終えてのストーリーを大まかに思い返すと
「全体を通した印象で見ると面白いが、点で見ると不可解な部分もあった。」という感想です。
結果までの過程や選択などある程度不条理に感じることもあるのですが、1年終えて頭に残っているのが、毎週のように見せられて最も印象が強い「フレンズ内の夫婦喧嘩・ノロケ」であり、また成長の成否が兎に角フレンズの関係が強固になるか否かに殆ど懸かっているような見せ方であったことから、個別具体的な勝因・奮闘は結局よくわからないながら、フレンズという関係性の謎の勢いで押し切られてしまった感じです。
「特訓シーンを描くよりは、相方を中心とした他人との関係性の変化で突破口を見つけ、そして相方との関係をより強固にして強くなった。」と見せる方向性だったので、そこは巨人の星みたいなシーンが好きか、人間同士の絡みが好きかの好みの問題かなと思います。
とにかくフレンズの2人のイチャラブが力の源泉っぽいので、そういうものだと思って見ていました。
ちょっと不自然に感じた点を考えてみると
「結局ラブミに勝った理由であるトモダチカラってなんだ?」と考えてしまうと、ガッツリ説明回もあった謎の力である「ラブミーゾーン」と比べより曖昧な概念なので理由付けとしては弱いと感じたり…
特訓・試練の描かれ方が無印・スターズよりもマイルドなために、鬼気迫るものを持つラブミを超えた理由がわからないとか、やはり逆境に瀕して特訓による成長という流れに慣れていたが故に違和感を抱く場面が多かったです。
特に序盤は描かれる逆境の強度と解決法がハニーキャットの方が強く脳筋的なことが多く、物理的にハニーキャットの方が強そうなのになんかいつの間にかピュアパレットに負けてるんだけど…みたいな思いがありました。
あいね個人が成長した原動力は湊みおを始めとした友達(周囲)の期待に応えるということなのでしょうが、「既にある程度の成功を収めているが今ひとつ殻を破りきれない」という境遇で高い壁にぶち当たりがちだった湊みおと比べ、素人だったあいねが湊みおと肩を並べるための個別具体的な大きな壁に突き当たる場面が少なかった上、成長のための練習シーンなどが甘めだったためにこう感じたのかなと思います。
この辺は「スポ根が強い」みたいな捨象することができない過去作の方向性に引っ張られているので、新しく見始めた人にとってはあまり問題にならないのかなと思います。
この辺りの関係で「ハニキャの桜庭ローラ的な敗走」がないのは評価したい見せ方です。
桜庭ローラのイメージが「同じ目標を目指し、同じような環境にいて切磋琢磨し、でも主人公に負け続け、最後は『我が道を行く』というお題目のもとに別の方向へ敗走させられる」という結構最悪に使い潰されたイメージで、ここに憤りを感じていたのですが
ピュアパレとハニキャは同門ながら直接対決も少なく、またダイヤモンドフレンズになるという以前に、また負け始める以前に、もう最初から向いている場所が違う(アプローチが違う)という印象を持てたので、「ご都合的に負け続け目線を変えさせられた」ように見える桜庭ローラのような後味の悪さはなく、「別のアプローチから力を付けていったが及ばなかった。しかしもちろんこれからも自分たちのやり方で行く」と素直に受け取ることが出来、納得感があります。
他の違和感はココちゃんのステージやるやる詐欺とか
何でリフレクトムーンはそんなにバックボーンもないのに最初からこんな強いんだよとか(但しリフレクトムーンは強さの源泉・目標みたいなのが最後までよくわからず、それが故にDFCで負けても納得感があった。)
こんなところですかね。
なんかリフレクトムーンだけ最初から別のところにいた気がします。
総評すると
「個人の成長物語というより、婚約者や他者との関わりからもたらされる多人数の関係性の物語が好きか否か」「公式から与えられたカップリングの範疇で満足できるか」これにより評価が分かれるかと思います。