2023〜2024年 プリキュア ラッピング乗り物 飛行機・バス・鉄道 まとめ

2023年。プリキュアシリーズは20周年イヤーを迎えるにあたり、多数のコラボ・広告が展開された。この記事ではその中でも特に「ラッピングされた乗り物」に焦点を当て、旅行好き・乗り物好きな筆者が撮影してきた写真と共に運行の概要や思い出を整理していく。

 

1. 飛行機 〜ひろがるスカイ!プリキュア×Peach Aviation JA827P〜

20周年イヤー最初のラッピング企画は3月頃に発表。お相手は過去に行われた鉄道・バスではなく「空路」飛行機であった。ひろがるスカイ!プリキュアが空モチーフのため順当なコラボ相手ではあるが、遂に地上から空へコラボ相手も拡大したことにえもいわれぬ感動を抱く。シリーズ制作のABCとPeach Aviationが同じ大阪企業ということもあり、協力関係にあったことから実現したコラボらしい。

当該機材はJA827P。LCCで見慣れた・乗り慣れたA320で、Peachでは比較的機齢が若い機材が充当された。

飛行機とのコラボとなると運行予定が出ないことから兎に角遭遇自体が難しい上、コラボ相手がLCCということで都心に近い羽田でなく成田が就航地となるので、東京西部在住の私にとっては通いも難しくなかなか出会う機会を得られなかった。

 

当該機材であるJA827Pとの最初の出会いは、大阪でのライブ(※詳細記事→ 【旅行記・楽曲/ライブレポート】2023.8.5「プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!」Vol.2 <2009-2018 Middle 10 Years 〜大阪公演〜> に行ってきました。〜3年前の忘れ物〜 - さくら書記)の際行きの関空で2つ隣のスポットで駐機されているのに遭遇したところ。2度目はそのライブの帰り、帰路に取ったPeachの成田行きが見事にJA827Pでの運航で、とても幸運なことに搭乗も叶った。コラボグッズも機内販売でしこたま購入してしまい、財布も"空"に…

3度目は休日の朝にFlightradar24で運用を追いかけ、次の便で成田行きになるという目処が立ち、車で成田空港近辺まで撮影に行った際。この撮影が現状最後。まだ飛んでいるので私が休みのタイミングで晴れてて成田に来ることがあったらもう一度くらいは…と思いつつ、今はみなとみらい線に気持ちが傾いてしまった。

ひろプリは今月末で最終回なのでラッピング終了も時間の問題だろう。会いに行くのなら大急ぎで向かうことをお勧めする。

 

2023.8.3 KIXにて 別のPeach便降機後の制限エリア内地上から

 

2023.8.6 MM319便 KIX→NRT JA827Pに搭乗 KIX・機内・NRTにて

制限エリア内、機体のすぐ近くから見上げるように本機を撮影できたのは一生の思い出かもしれない。翼の裏のレジを入れたアングルは搭乗者、且つターミナルバス・タラップでの搭乗・降機で地上に降りられた人だけの特権。

 

2023.8.20 NRT・NRT周辺 Bランに降りAランから上がる


2. バス 〜映画プリキュアオールスターズF×都営バス T-E393〜

続いてのコラボ発表は8月。夏休みに合わせた都営バスの映画プリキュアオールスターズFスタンプラリー期間をカバーするかのように、8/11〜9/30まで早稲田営業所所属T-E393がFのラッピングに。

バスは遠い昔、ASNSの際の横浜市交ラッピングを撮って以来。映画姫プリの際も横浜市交でラッピングがあったのだが、生憎その頃はアイカツ!にお熱で撮影に行かなかった。個人的に、鉄道・飛行機はそれなりに好きだという自負があるが、バスは全然なのでそこまで食指が動かなかったというのもある。

都バスはラッピングバスの現在位置・運用をリアルタイムで出してくれるためかなり撮りやすく、青春時代を過ごした街や"作品的にありえない"大人のお店の前など、目星をつけて撮ることができた。



 

3. 鉄道 〜プリキュア20周年×みなとみらい線開業20周年 Y511F〜

20周年イヤーも終盤になってきた12月下旬、もうラッピングモノが来ることはないだろうと思っていたところに不意打ちの鉄道ラッピングの発表。年末年始に横浜で行われる全プリキュア展、また横アリでの20周年ライブもあってか、横浜高速鉄道-一般にはみなとみらい線-でのヘッドマーク付きラッピングトレインの運行が決まった。

みなとみらい線東急東横線の車両は2013年に東京地下鉄(東京メトロ)副都心線への直通運転が始まって以降、高頻度で私の住む街にも顔を出すようになったため、大好きな作品のコラボ車両が地元にやってくるというこの上ない喜びを抱く。

 

プリキュアシリーズのラッピング電車を撮るのは、記憶にある限り2011年に東映アニメーションのお膝元・大泉学園を通る西武鉄道6000系にHM+ラッピングが為された映画スイートプリキュア♪公開記念スタンプラリー号以来かもしれない。池袋方は戦隊のHM、飯能方がスイプリだったはずだ。

その前だと同じく東急東横線で-当然副都心線に直通前で渋谷駅がまだ頭端式ホームで地上だった頃-映画5gogo(お菓子)のHM+ラッピングの5050系(5168F)が走っており、何度も撮りに行ったのを記憶している。あの頃追いかけた5168Fは今、もちろん副都心線と繋がり地元で出会うことも多い。同編成は2023年にはQシートを組み込み10連化され、4000番台の4114Fに改番されているそうだ。この記事を書いて気付いたのだが、今回のY511F追っかけの際練習電として4114Fを撮影していたことに気付き、少し懐かしい気持ちになった。

ラッピングなしのヘッドマークのみに限れば、これも西武鉄道がかなり実施しており、映画スマプリ・映画ハトプリ・映画フレプリ・映画5(鏡の国)でカン付き車の定期運行を、映画MHの際は西武新宿→西武遊園地でカン付き団臨を走らせている。MHの団臨以外は全て撮っていたはずだ。保存用・バックアップ用HDDにデータが残っている。

近年では仙台市営地下鉄で映画プリキュアドリームスターズラッピングがあったようだが、撮りに行っていない。

 

話を今に戻して、Y511Fは「地元を通る」その一点で非常に熱量が高く、運行開始から仕事がない日はひたすら撮りに撮っている。1月28日までと運行期間は約1ヶ月、短いこともあり集中してカットを稼いだ。身近な地元路線だけにあの構図で撮りたい、この構図で撮りたいというイマジネーションが多数湧いており、運用を見ながら最終日まで出来る限り撮影を続けたい。

みなとみらい線東急東横線の8両編成は運用がかなり絞られるため、運用番号さえわかればダイヤが乱れない限り多くは翌日の運用がわかることが救いだ。元住吉検車区入庫の運用でなければ、概ね翌日に入る運用も決まっている。運用表を上げているブログなどで少しコツを掴めば、毎日簡単に追いかけられるはずだ。

 

側面ラッピングは1月3日現在で記録程度にはキャラ毎の個別撮りを完了しているのだが、記録カットは出しても面白みがないので気に入っているものだけを上げておく。

 

 

 

おわりに

空・道路・鉄路とこんなに充実したコラボは初めてで、乗り物好きにとっても楽しい20周年イヤーとなりました。

目下はY511Fを集中的にやりたいのですが、20・21日の20周年ライブに向けての体調管理が第一ですので、寒空の下電車を待って風邪、なんてことのないよう考えて動こうと思います。

あわよくば、21周年イヤーもこの調子で是非乗り物コラボをお願いできればと切に願います。

 

それでは仕事始めに備え本日はこの辺で。

【旅行記・楽曲/ライブレポート】2023.8.5「プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!」Vol.2 <2009-2018 Middle 10 Years 〜大阪公演〜> に行ってきました。〜3年前の忘れ物〜

 

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前日譚

「一大事」のライブ

「衝撃」のち「大本命」――。

 

2023年4月7日金曜日。年度末・年度始めの最繁忙期で連日残業が続き、疲弊しきったタイミングで「衝撃的」なツイートが流れてきた。

待ち望んだ遠征、地方公演。そして待ち望んだ「全体の曲数が限られているためあまり刺さらない曲まで聴かなくてはならない『単作ライブ』でも、1作品に割ける曲数が少なくなりがちな『全作集合ライブ』でもなく、ほどほどの作品数で区切られた『コンピレーションライブ』」の発表に、大きく心が沸き立った。

私は以前からプリキュアのライブでは終了後恒例となったアンケートにおいて「今後開催してほしい企画は?」といった自由記述欄に毎回「単作でも全作集合でもなく、1作品あたりの曲数が多すぎず少なすぎずとなるよう何作かずつで集めた、ちょうどいい作品数のライブを開催してほしい」との旨を回答し続けていたのだが、今回の3公演はまさにこの要望がそのまま採用された形だ。嬉しく思うと共に、ただの1ファンとして出過ぎたことを述べているとは重々承知しているが、私もこの企画の発案者の1人であると言えることが少し誇らしく思えた。

 

「1番人気」の理由

普段よくつるむ仲間もこの3公演には即座に興味を示し、早々と誰がどの公演に行きたいかの出欠を取り、チケット調整に向けたグループが立ち上がる。直近5年の広島、中10年の大阪、初期5年の東京。多くは「アイカツ!」で知り合った、年代が近い仲間が多く集まる私の周辺での「1番人気」は今回の大阪公演であった。

私は若き日よりCCさくらおジャ魔女ぴちぴちピッチミルモでポン、マシュマロ通信といった女児アニメを愛好していた異常オタクなので、初代の頃から「プリキュア」の存在は認知していたが、プリキュアシリーズをリアルタイムでなんとなく観るようになったのはS☆Sから、そしてプリキュアにドハマりする切欠となったのはその次、メンバーがカラフルになってからであった。

仲間に「オタクの目覚めはいつだったか」を聞くと、大体は中学・高校辺りからと答える。そしてその仲間の多くとは「アイカツ!」で知り合っているのだが、女児アニメを選好するオタクは多かれ少なかれ、女児アニメの「金字塔」の1つとして君臨するプリキュア、少なくともどこかで1作品以上のプリキュアを経ている。

詳しい年代は言わないがこの辺り〜もう少し下くらいが多い私の周りにおいては、直近5年となると「ポスト・アイカツ!」で三次元・2.5次元等アイドルコンテンツに熱が向かったり、結婚などライフイベントを期にディープなオタクからは足を洗ったり、単純に歳を取って大人の感性に切り替わっていたりと最近のプリキュアは観てないという層が多い。他方15年以上前の初期作品となると若すぎてまだ「オタクとしての夜明け前」であり、後付け履修が多かったり、記憶が薄れてたりするため優先順位は下がる。

そう、年代的に「記憶に強く焼き付いているプリキュア」は、凡そ中10年なのだ。

 

本公演では年代としてはフレプリ〜ハグプリまでが対象となっているが、出演者が池田彩・吉田仁美・宮本佳那子・北川理恵・(Guest)工藤真由と、フレプリだけOPEDのシンガーがおらず、どうするのかが気になっていた。

結論から言えば残念なことにフレプリは全く触れられず"実質中9年"であったのだが、開演前における私の期待はそれを含めて多岐に渡り、音楽は突然ダンサブルで洗練された調に、映像は3DCGにとEDが革新されたフレプリ、HEART GOES ONを有しEDは2曲共良質なハートキャッチ、音楽がテーマだけありOPED共に質実剛健でフロアのバイブスが上がる名曲揃いのスイプリ、突き抜けて勢いがある作品でイェイ!イェイ!イェイ!が屈指の楽しさのスマプリ、Wicky.Recordingsが手がけたテクノポップなED2曲は共にプリキュア全シリーズの中でも未だNo.1のエンディングテーマとの評も多いドキプリなど、中10年の作品についてはほぼ全てがまるで今私の眼前で映像が投射されているかの如く、観たい・聴きたい歌やプリキュアたちの活躍・ダンスが脳裏から聴覚野・視覚野・心の琴線をノックし、鮮明に情景を描かせる。

何が何でも大阪だけは行きたいと強い願いを込めて申し込んだローソンチケットは、広島を落として大阪を当選させていた。個人的に支援を頼んでいた5名は、なんと全員どの公演も落選していた。

結果的に私の所属するグループでは大阪公演ばかり当選しており、大阪公演のチケットはほぼ過不足なく希望者に供給できることとなり、安堵すると共に近しい仲間と久々に割と大人数で遠征できることに対する楽しみが大きくなっていた。

 

遠征計画決定

チケット当選が確認できたタイミングで8/3木曜から有休を取得し、8/6日曜の夜に帰京する3泊4日の旅程を計画。勤務態度はそれなりに良いので、なんの不都合もなく2日間の有休が承認される。都合よく翌7日月曜日は休日出勤の補填で代休日とされており、疲れを癒やすための1日も用意されていた。

交通手段は脳死で新幹線か飛行機を考えていたが、EX-IC改悪などやたらと強気価格なJR東海に嫌気が差していること、遠く1ヶ月以上前から旅程が決定していることを勘案し、早割で取れば新幹線よりも割安な飛行機に決めた。

飛行機で行くとなれば、プリキュアファンなら当然思い出されるのが現在放送中・ひろがるスカイ!プリキュアPeach Aviationとのコラボ。Peachの飛行機1機-JA827P-が機体後部にひろプリのラッピングを施された「プリキュアジェット」となっている他、機内販売でコラボ限定グッズを販売していたりする。

成田-関空を結ぶPeachの路線は、東京西部に在住する都民の一般的な選択といえる羽田-伊丹よりも圧倒的に空港が遠くなり、空港までの運賃差・時間を勘案するとLCCが提示する価格ほどの魅力があるとは思えなかったが、「折角プリキュアのライブに行くならプリキュアの飛行機でしょ」「どうせならプリキュアジェットに当たりますように」とイベントのテンションとガチャ感覚で、セールにも後押しされ安直に往復Peachに決定。

往路 MM312 NRT0715→KIX0850

復路 MM319 KIX2040→NRT2210

往復 手数料・空港使用料込 10,750円

これは安い。安いのだが、キャンセル・変更不可という最安の航空券を買った数日後からずっと「やっぱ成田も関空も遠いし、行きの成田朝7時15分発とか結局スカイライナー乗らないと間に合わないじゃん…朝一の羽田-伊丹のJALとか9000円くらいだったし、それで行けばよかった…」などと非常に後悔していたが、後日、遠征最終日に「往復Peachという決断」によって最高の思い出がもたらされることになるとは、その時の私は知る由もなかった。

 

旅行開始〜開演当日

8月3日木曜日

まだ外が真っ暗な時間に起床し、いそいそと成田へ向かう。遠い。ただただ遠い。

LCCらしく座席は未指定だったのだが、成田で自動チェックインすると運良く窓側座席が割り当てられた。夏休み期間ということもあり不便な時間の便にもかかわらず比較的搭乗者は多かったのだが、窓側をアサインしてくれた。おお、幸先が良い。

 

機材は―前日夜からどの航空機が今どこにいるかリアルタイムでトラッキングできるサービス、Flightradar24を普段から眺めていたためわかっていたが―残念ながら何の変哲もない一般機だった。プリキュア機は関空で夜を明かしたらしい。

そもそもPeachで運用されているA320は30機超あり、ラッピング機の機材繰りなども全く公開されていないので、たった1機しかない飛行機を狙って乗るというのは至難の業なのである。

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快晴の成田Aランから上がると、あっという間にもう関空三重県くらいまでは雲がほとんどなく、眼下に街を眺めながらのフライト。

FlightradarでJA827Pが関空にいたのを調べていたため、スポットへのタキシング中にその機影を探すと…最も端のスポットに駐機されていた。

幸いなことに私が乗っている便はその僅か2つ隣のスポットに入り、タラップで降機しターミナルまで野ざらしの空港敷地内を歩く間、障害物は多いながらもどうにか便利ズーム1本だけ付けて持ってきたミラーレス一眼でその機影を収めることができた。初めてそれなりに近くで見たJA827Pである。

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プリキュアジェットと出会えて早朝出発の不機嫌さは解消され、関空から今夜の宿泊地・神戸に向けてダラダラと移動を始める。
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プリティストア大阪本店、アニバース心斎橋を訪問。結局やってることが東京と変わらない。もう大阪市内の観光地らしい場所はあらかた行き尽くしたし…

その後はあれこれ足を伸ばした後、職場の福利厚生の借り上げでグレードの割に破格だった神戸のホテルにチェックイン。シャワーを浴び、地場居酒屋で一杯やって泥のように寝た。

 

8月4日金曜日

ハイグレードシティホテルはベッドが違う。心地良い朝を迎える。

神戸の街は昨日に引き続き晴れ。普段は地場産品を優先して食べたいため素泊まりしか選ばないのだが、ホテルの朝食が付いていたので朝からパン・ご飯・麺・デザートのデリシャスパーティ♡プリキュア属性欲張りプレートで行動への活力をチャージ。実にデリシャスマイルである。無論、健康を考え肉魚卵牛乳で身体を作るタンパク質も注入した。

 

この日は人生初の淡路島へ。何度も高速バスで素通りしたことはあったが、SA含め上陸したことはなかった。トンネルや長大橋梁といった土木オブジェクトが好きなため、明石海峡大橋を渡る、下から眺めるだけで既に満足感がある。

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地魚定食を食べ、地元スーパーに寄り、道の駅に寄り、ぐるっと島内を一周し夜に神戸へ帰る。

舞子から僅か10分。橋続きで離島らしからぬ島ではあるが、商店街や集落は都会や県庁所在地クラスの街の喧騒とはかけ離れた穏やかな時間が流れていた。はたまた、パソナという政商…黒船が来航したこともあってか、Z世代へ向けたかのような若く洒落た新しい店舗も多く見受けられた。地理的条件に依るところも多いにありそうだが、淡路島はしっかり新陳代謝している離島であった。

 

8月5日土曜日 ライブ当日

昨晩と同じベッドで目を覚まし、今日もデリシャス朝食を注入。最高気温36度に張り付いて下がる気配を見せない天気予報に朝からやる気パワーを吸い上げられ、阪神間で特に観光したいところもなかったためチェックアウト期限の11時ギリギリまで粘り、適当に出発。

今日の宿はライブに参加する仲間と泊まる民泊。15時を回ったら入れるようになるので、それだけを目掛けてダラダラと阪神電車で移動した。

宿の前でワラワラと仲間達と合流し、宿に大きい荷物を置いて軽装でTRADへ向かう。今回の公演はオルスタなので、更に"梅田のあの辺"における行きつけのコインロッカーにも立ち寄り、ポケットの中以外手ぶらに。

 

3年前・2020年2月末。今回の会場であるumeda TRADには来たことがある。ここはアイカツオンパレードのライブ、ユニパレ!大阪公演のハコである。
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しかし当時は中に入るどころか、目的だったライブの開催すら叶わなかった。世間では未知のウイルスと横浜港に留まるダイヤモンドプリンセス号の話題で持ちきりで直前に公演中止となってしまったのだが、当時は―まだコロナ対応の最初期だった頃は―私が抑えたLCCの航空券は無償払戻なども全くなく、だが航空券代をドブに捨てるのも癪なので、コロナが何者か判然とする以前の「未知のウイルス」の恐怖に蓋をしつつ、ただのノープラン大阪旅行となった。

この後2週間ほどで「緊急事態宣言」が発令されて街から人が姿を消すこととなるのだが、これはまだギリギリ人流があった頃の思い出。

 

話を今に戻そう。

同じハコでそんな経験をしているだけに、この場所にプリキュアで帰ってこれること、活気を取り戻した会場の雰囲気に少し感動してしまう。

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個人的には「約3年半もの間留め置かれた"忘れ物"を引き取るため」万感の想いでライブ会場に足を踏み入れた。

 

ライブ本編

屋外がとても暑かったため、場内は冷房が効き涼しかった。最初だけ。

公演が進んでいくと過去の屋内ライブを総合しても最も過酷といえる気温・湿度となり、終演後熱中症のようになっているオタクも出た。途中から上手のエアコンは結露で雫を垂らしてるし、空調は熱気を冷ますには全く力が足らなかった。

しかし無理もない。オルスタ、Anthemだらけの歴代セットリスト。これでボルテージが上がらないわけがないであろう。

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開演前アナウンス

本日出演する演者らによる諸注意事項案内。何故かセルフエコー風に言ってたりメチャクチャ遊んでいた。

 

1. We can!! HUGっと!プリキュア

初手はハグプリ。新しい方から古い方に遡る構成は広島の時と同じようだ。イントロを歌い出すとオルスタの会場がいきなり絶叫に包まれる。「死刑執行」が開始された。

示し合わせずとも皆サビの跳びポで跳んでいた辺り、オルスタだと流石にライブ慣れしたオタクばかりだと分かる。宮本佳那子もバチバチにフロアを煽って来る。今夜は安心して身体を預けられそうだ。

 

2. 明日笑顔になぁれ!

お前!お前お前お前!

スーパースターズの映画はあまり面白くなかったのだが(直球)、この主題歌だけは好きで頭に残っている。思えばこの翌年更に酷い内容で音楽もそれほど…というオールスターズ映画が出たので、今となってはまだよかったのかもしれない。私と同名の「サクラ」が出たこの前年のオールスターズは良かったのに…

閑話休題。1音目から突き抜ける「はーなーひらーけー」というイントロ=サビのハイキーなメロディは北川理恵という歌手の力を大いに活かし、タイトルの通り聴いているこちらが笑顔になってしまった。

 

3. レッツ・ラ・クッキン☆ショータイム (TVsize)

キラプリに突入。キラキラ☆プリキュアアラモードという作品は、6人もプリキュアが登場し画面を覆い尽くすほどにカラフルという視覚的情報とは裏腹、プリキュアとしては各人の「個の意識」がとても強く、仲間との紐帯は他作品と比べ明確に、おそらく過去最も薄く感じられる異色の作品なのだが、OPEDは全て明るい曲調でやたらと合いの手・コーレスが多く一体感を持って楽しめるという味付けが妙なところ。

本公演とは関係ないが、キラプリのキャラソンは名曲揃いな上、1キャラ2曲以上は歌っており、前後で2枚+ベストとアルバムも3枚出ているという力の入れようなので、楽曲派諸兄は是非一聴することをお薦めする。私の好きな四字熟語は「苺坂物語」です。

そんなキラプリ前期EDの本曲はさながらPrinceが切り拓いたような、ロックンロール・ディスコ・R&B始め各ジャンルの要素を混ぜ合わせた80年代のアメリカン・ポップミュージックさながらのビッグバンドな雰囲気。ブロードウェイの劇場辺りでバックバンドを従えて歌われていそうなオールドスクールな雰囲気がある。この系統は後期EDのシュビドゥビ☆スイーツタイムにも引き継がれ、名曲揃いの本作を彩る。

本曲は6枚もリリースされたキャラソンシングルに収録された半音下げた各キャラ個別歌唱バージョンや、アルバム収録の声優全員歌唱バージョンもリリースされており、これだけ沢山歌われまくったEDというのも珍しいのではなかろうか。

 

FullのCメロへかけて挟まるコーレスを楽しみにしていたらまさかのShortで面食らうも、本曲は過去に割と披露されている方だったので「次のED」を優先するのだろうと納得感があった。

 

4. シュビドゥビ☆スイーツタイム

前の曲がShortで終わった瞬間「順番的にはここだよな…」と緊張が走る。

直後、宮本佳那子により「みんな、プリキュアの名前言えるかな?」と小MCが入った瞬間に身体を突き抜けた稲妻を、今でも覚えている。

 

大阪公演で内心最大のお目当てがこのシュビドゥビ☆スイーツタイムである。今までのプリキュアシリーズ全曲の中から好きな曲TOP5を決めるとしたら、シュビドゥビ☆スイーツタイムは間違いなく入ってくると言い切ることができる。

「作詞・作曲・編曲:R・O・N」この通り1名の男だけがクレジットされた本曲、私にとってはおよそ20年前から始まり今も抱き続ける高まりの感情を呼び起こさせる。

R・O・Nといえば「新谷良子」だと、私は知っていた。

時は20年前の2003年、新谷良子1枚目のシングルである「ワガママdate show」という曲が深夜、文化放送アニラジで流れていたことがきっかけで、新谷良子もろとも大好きになった。その曲のクレジットが前述した「作詞・作曲・編曲:R・O・N」であった。

その後この黄金コンビはトリックスター、ロストシンフォニー、crossingdays、月とオルゴール、ハリケーンミキサー…と続々名曲を送り出して行くのだが、この2人のタッグの中でも一番好きなのが、現在でもライブのオーラスで披露されることも多い代表曲「CANDY☆POP☆SWEET☆HEART」だ。

この曲に対する詳しい感情は割愛するが、今回のシュビドゥビ☆スイーツタイムという曲をテレビで初めて聴いた時、そしてフルを初めて聴いた時、心の奥底から湧き上がる、とても昔から知っているはずの熱い感動が込み上げてきたことを思い出す。第1感として「この曲、CANDY☆POP☆SWEET☆HEARTだ」と感じたのだ。

具体的に言うと、要素が似ている。Lo-Fiなイントロ、オーソドックスなバンドサウンド、リズム隊主導のグルーヴ感の強い展開、早口・ラップパート、サビの休符の使い方、大サビへの上げ方、いきなり終わるアウトロ、小刻みに毛色が変わるメロディの種類の多さなど、私が大好きなR・O・Nプロデュースそのものの一曲だった。

メロディ良し、サウンド良し、ワードセンス良し、ヴォーカル良し、グルーヴ良し。何一つケチをつけるところがない。歌詞にも出てくるドゥワップ調…から昇華したロックンロール色の強いグルーヴ感がある。キラプリのEDは2曲とも何故かオールドアメリカンな潮流のビッグバンドスタイルなポップスであるのだが、それでいて作中・映画で描かれる異国要素はフランスというちぐはぐさなのも"フリースタイル"で面白い。

 

1番と2番でメロディの構成が変わる上間奏の後にCメロまで用意される欲張りっぷりの本曲、過去のプリキュアソングの中でも屈指のメロディの多さになる上、グルーヴィーで緩急のあるパート、話すようなパート、歌い上げるパート、早口パート、スキャット風で複雑な歌詞など、歌唱する側からしてみれば難易度が高そうに見える。

しかし歌い切れれば間違いなく宮本佳那子最大のキラーチューンになれる一曲だろう。今後より一層の披露を期待したい。20周年ライブでも是非披露していただいて、グルーヴでハチャメチャにしていただきたい。

 

この曲、あまりにも大好きなのに、かつしかシンフォニーヒルズでのキラプリライブではやらなかったし、サンプラザの15周年ライブでもやらなかったし…当時の大きなイベントというとアニサマ2017で披露されているが、コンピレーションライブには当時の推しが出ない限りは行かなかったし、品川ステラボール・オルスタのハグプリライブでもやらず、以降は歌唱機会が減りプリキュアシリーズもろともなかなか宮本佳那子自体が参加せず……

満を持して、今日。令和5年8月5日土曜日。コロナから明けて声出しOK、オールスタンディング。全てがグリーンライト。6年間待ち侘びた瞬間が、遂に訪れた。

 

イントロから"異常な声"を発してしまったのだが、会場も多くは同じであった。贔屓目もあるとは思うが、会場のボルテージが最も高まったのが本曲だったのではなかろうか。プリキュア10年分のオルスタライブに来るような狂った奴等は「良い音楽はキラプリにあり」と知っているのであろう、君たちは本当に素晴らしい。

本公演ではひたすらオタクが縦ノリしながら合いの手・コーレス・ハモリ・クラップを入れ続ける。「ホイップジェラートカスタード マカロンショコラにパルフェ 作って食べて戦って ぐるぐるぐるぐるぐるりんぱ」というハモリパートはもちろん、それどころか歌手単独で歌唱している「シュビドゥビドゥワップシンガロン パラッパラッピンプレゼント フワフワフワリンリンガベル ブンブンアイラブプリティーガール」というスキャットにまで声を重ねてみんな大合唱していた。フロアもこの曲を待ち望んでいたようだ。無論、声出しOKでないとこのグルーヴは味わえない。逆説的に言えばコロナ明けというタイミングもバッチリだ。

突き抜けて楽しいメロから視界が開けるといきなりサビはやや哀愁を含むフックメロディになり聴かせてくる緩急も抜群。それでいてサビにもガンガン合いの手が入る構成で、全体の"バカ楽しい"グルーヴを壊すことがない。

2番ではメロディ構成が変わり、よりグルーヴィーな合いの手を欲しがるパートが入ってくる。どうやって考えたんだよこの構成、天才の所業か?否、R・O・Nか。これは天才の所業だった。

2番サビ明けの間奏で感情がメチャクチャになり「6年間求め続けていたものにようやくありつけた」感動と楽しさで泣き笑いする。「これからのことは明日考えよう」その後挟まるブリッジパート最後の「オッケーキラッとひらめいた」という"スイッチ"を起点に、全員でクラップしてホイップジェラートカスタード〜を叫びながらもう一度頂へと引き上げられる感覚。アイカツ!を失って以後の近年で一番の高まりだったかもしれない。

ホイップジェラートカスタードマカロンショコラにパルフェと連呼するパートが曲中最後となるタイミングで「ラスト行こうか」と明示する掛け声のような歌詞のセンスも抜群。「最後だししっかり楽しんでおけよ」という意味合いの"ダメ押し"を受け、プリキュアを連呼する意味のない歌詞を叫びながら天上へ駆け上がる。

シュビドゥビ☆スイーツタイムは、1分、1秒たりとも、無駄な、中弛みするパートがない。ポップスらしいポップスでありアニソンらしいアニソンにフロアのボルテージは高まるだけ高まると、ラスサビが終わった瞬間に急転直下「キラキラ☆プリキュアアラモード イェイ!イェイ!」という短いフレーズだけでアウトロもなく急に曲が終了する。暴れるだけ暴れ、終わったらすぐ撤収。本曲の演奏時間は4分42秒、プリキュアシリーズの本編主題歌としては長めの5分に迫る演奏時間を少しでも短く収めるためのアイデアかもしれないが、クールダウンする間もなくボルテージそのまま、終曲後フロアから割れんばかりの歓声が上がるのもまた一興。

 

待ち望んでいた「大阪に来た目標」が4曲目で達成され、恥ずかしいことにここからしばらくはあまり記憶がない。

とにかく素晴らしい時間だった。

 

5. 桜MISSION~プリキュアリレーション (Movie Ver.)

クールダウンは許されなかった。ドリームスターズ!挿入歌版のイケボバージョン。

これ、好きなんですよぉ〜…(ニチャァ)

2番がないのでスパッと終わり、確かこの後MCに入った。

 

MC1

宮本佳那子と北川理恵のMCがあったことだけ覚えてるんですがMCの内容は覚えてないです…

 

6. ドリーミング☆プリンセスプリキュア (TVsize)

ごきげんよう…とんでもなく久しぶりに聴いた気がする。

エレガントな3拍子とスタンダードな4拍子を組み合わせた曲で、当時プリキュアシリーズは初歌唱だった北川理恵のボーカルも良く"おっ、いいじゃん!"となかなかに驚いた記憶がある。この数年後キラプリのキャラソンで5拍子+7拍子ととんでもない「YUMESORA∞」という曲が現れるのですが…

 

7. 夢は未来への道 (フローラVer.)

待ち望んでいました。北川理恵完全体とも言うべきこの曲。

Let's go goの後思い思いに推しの名前を叫ぶオタク、私はトゥインクルでしたし、連番者はマーメイドでしたが、ここは王道のフローラバージョン。

特にBメロのミュージカルパート、この狭いライブハウスで間近に体験すると実にすごい。圧倒される。

 

8. Dokkin◇魔法つかいプリキュア! Part2

キュアップ・ラパパと魔法の言葉で人生大混乱。ここで急に古→新に作品の順番が入れ替わったのは何故か、歌唱難易度の高いGoプリ曲を消耗する前に持ってきたかったのだろうか。

硬派な曲が続いたところからいきなり遊べる曲になり、会場もより一層沸き上がる。魔法は超楽しい。

 

9. プリキュア・メモリ

吉田仁美さん登場。

宗教上の理由で人形の国バレリーナを除くハピチャは…という感じだったのですが、この曲は別です。すいませんでした。

プリキュアシリーズ10周年記念作品に相応しい本曲は「重鎮」小杉保夫先生作曲、編曲はこの空の向こう・ラブリンクと同じくWicky.RecordingsからDr.Usuiが担当し、バチバチにディスコ調のエレクトロ・ポップな「ドキプリのテイストそのままな(当時は)最近のプリキュアED」でありながらも、要素を分解していくと曲名の如く過去作オマージュもあり、アニバーサリーな1曲となっていた。

Aメロがほぼ小杉先生のまかせて★スプラッシュ☆スター★じゃないかこれ?みたいなメロディだったり、只野菜摘先生が入れ込んだ歌詞は2番の作品名連呼地帯以外もオマージュだらけだったりと、聴き込んでいくとプリキュアシリーズ10年間の歴史が滲み出てくる。

今回のステージとは全く関係ないが、本曲を吉田仁美の代わりに10年分9人のピンクキュア声優が歌唱した「プリキュア・メモリ NewStage3 Version」における2番の作品名連呼地帯で、キュアメロディ役・小清水亜美ソロの「スイートな〜」というフレーズだけ異常にイケボなので、是非一聴してみてほしい。

 

吉田仁美さんの脳トロボーカルが会場を一閃した瞬間、そこかしこから悲鳴が上がる。歓声でなく、悲鳴。大阪公演は最後までこんな感じだった。どの曲も誰かにとっての大きな1曲なのだろう。

大の大人が「キュアキュア!」と連呼している奥に覗く吉田仁美の姿は、今も変わらずダンスのキレが良く、10年くらい前に足繁く通ったステージの記憶が一気に蘇ってくる。ドキプリがやってた当時はショッピングモールの無銭イベントなんかに有栖川おとめ役でお馴染み・黒沢ともよもいたなぁ、懐かしい。これが私にとっての「プリキュア・メモリ」だ。

「過去の思い出を振り返り、未来もずっと色褪せないものにしよう」という意味合いの10周年記念曲を20周年記念ライブハウスツアーで聴くとは、実に感慨深い。

 

 
10. パーティ ハズカム (TVsize)

本当に申し訳ないのだが、この辺りはブルーとかいうイノセントな男性にアニメ視聴を妨害されておりほとんど記憶がない。みんなでご褒美パンティとかしょうもない替え歌してた記憶しかない。

"あ〜こんなのあったわ あったあった"と思いながら吉田仁美のキレキレダンスに見惚れていたら、Shortだったのかサクッと終わってしまった。

 

MC

北川理恵と吉田仁美。「熱気が凄い、いや、湿気が凄い!なんか曇ってるもん!」という会話が出たほどもう会場内はメチャクチャだった。

途中から「紫のドレス」に着替えた宮本佳那子も合流。「今日ダビィがいないから変身できないかも…」みたいな×茶番 ○煽りの後にキュアソード変身口上。わかってても燃えますわなそりゃ。紅茶が好きなので今でもエースティー商品化して欲しいですもん。できれば無糖で。

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11. 〜SONGBIRD

令和5年ですよ。今。まこぴーのあのヒット曲を生で聴けるとは…

ラーラーラーラーというハモリポイント、オーイングできるBメロ、ジングルから多幸感あるメロディ、終始ディスコビートでダンサブルなこの曲は「近現代の正統派アイドルらしい代表曲」を目標にディレクションされたはずだ。放送当時はまこぴーインカムなる商品が発売されていた気がするが、当然大人の頭には入らないため買っていない。

アウトロで「いくよ!」と煽られて「1,2,3,4,fly!」するの、待ち望んでいたもの。トップアイドルのステージは最高です。ありがとう。

 

12. こころをこめて

まこぴーソロアルバム「〜SONGBIRD〜」のラストトラックがこの曲。CDの発売はドキプリ放送中の比較的早い時期だったため曲自体は解禁されていたのだが、作品も終盤・40話の挿入歌として本曲をレジーナに向け歌うシーンが抜群に良い。

開演前から同行者へとしきりに「今日はこころをこめて」と絶叫していたほど個人的に思い入れがある上、それなりに有名な曲なので密かに待ち望んでいたのだが、2曲歌ってくれることになればほぼ決まりだろう。欲を言えば「dance at dawn」「勇気の花」なども聴きたい。ドキプリライブやってよ。今からでも。ついでに歌謡曲とローテクテクノの組み合わせという衝撃的なキュアロゼッタのキャラソン「CLOVER〜オトメの祈り〜」も…と思ったら去年やってた渕上舞単独ライブツアーで歌ってたらしい。ブチアゲダンスさんわかってるじゃないですか。ありがとうございます。

 

本公演では〜SONGBIRD〜の後に宮本佳那子による小MCが挟まり、確か「ドキプリチームとは未だに行き来がある」という話を聞いた後に「次の曲は私の大事な曲です。」との前置きとタイトルコールがあり、ここで確定演出だなと先回りしてエモくなってしまった。勿論、直後にコールされたタイトルは「こころをこめて」である。

2014年に入り宮本佳那子が体調不良で休業したことを記憶している読者も多いだろう。プリキュアファンでなくとも、アイカツ!ファンも知っているはず、音城ノエル役である。宮本佳那子から加隈亜衣に代わっているのだが、9年の時を経てなんと加隈亜衣プリキュアになり、遂には10/21のひろプリライブで新旧音城ノエルが揃ってしまったことは記憶に新しい。

 

話を戻すと、休業明けに始めた宮本佳那子のブログの名前が「宮本佳那子のこころをこめて」であった。これだけでも本曲が当人にとって大事にされていることがわかる。

「完璧主義な性格から心と体のバランスが取れなくなっていた」と讀賣の英字新聞で当時の休業の理由が語られている。(https://archive.md/23q2x)

事務所に所属しているとはいえ、己の研鑽と能力で仕事を獲得していかなければならないというこの仕事特有のプレッシャーを慮るに軽率な言葉は記せないが、往時、彼女自身は現状に満足せず、あるいは危機感を抱き、上を目指しもがいていたのかもしれない。

そんな往時の彼女のよすがとなるものが、自らが歌った本曲だったのであろう。歌詞を要約すると「不器用な自分を肯定する」「多忙の中に忘れられた真に大事なものを見つめ直す」「大事なものを心に宿しながら、今日よりきっと良い明日のために歌う」という辺りが要旨だ。歌う理由、原点回帰と、未来へ踏み出す決意。この曲は、歌う人が歌い続けるための道を示す、闇夜でも煌々と輝く北極星だ。

 

私ーただの外野のいちファンーが、歩みを止めない現在の彼女ー宮本佳那子ーにこんなことを語っても訝しむだけだろうが、彼女の出演した作品、往時は「こころをこめて」「dance at dawn」や、近年は「シュビドゥビ☆スイーツタイム」など彼女の参加した楽曲に多大なる力をもらっている人間がここにもいることを伝えたい。

私にも過去2回、精神的に参って何もできなかった時期があった。その2回とも快復期にはプリキュアの音楽ばかり流していた気がする。普段は一貫して4つ打ちの、一般的には激しめなダンスミュージックが好きなのに、その時は全然聴く気にもならず。何にもする気力はないのだが無音なのも嫌だし、ワイドショーで聴きたくない情報が入ってくるのも嫌なのでTVもつけず、有害性のないプリキュアの音楽をただひたすらBGMにしていた。心が沈んでいただけに、上がる曲が流れても高揚するわけでもないが、更に深く沈むこともない。近すぎず遠すぎず、私にとっていい距離感だったのだ。

その頃特によく聴いていたのがこの「こころをこめて」だった。同じくドキプリから「たからもの」とひたすら2曲ループしていた時期がある。何故こればかり聴いていたのかといえば、1回目のダウンの時はただ当時好きな曲の中では激しくなく、聴いていて嫌にならず心に響く内容だったから、2回目の時は「あの時も聴いていた」という経験に加え、彼女の休業理由が精神的なものと知った後のタイミングだったため、勝手に「同じような境遇にあったのかな」と想いを重ねて流していた。

当時、完璧主義な彼女がとんでもなく頑張ってくれたからこそ、頑張って様々な仕事を掴んで離さなかったからこそ、私の元にも彼女の声が・歌が届いたのかもしれないだけに、軽率に「つらかったら休んでくださいね」とは述べられない。述べられないのだが、ならば、ただのエゴで言わせてもらいたい。「あなたを失うと私が困るから、あなたが失われないように、あなたにとって今一番大事なことをやって。」と。

夏海まなつが発した「今一番大事なことをやる」という言葉が大好きだ。当初は表層的にしかその言葉を理解できなかったが、時を経てこの行動原理こそが人生の真理であると気付く。

選択と決定の積み重ねである人生、各人が無意識のうちに各人にとっての「今一番大事なこと」を選択し、実行してきた結果が現在なのだろう。時には進むだけでなく立ち止まる、出来るのであれば戻ることだって「今一番大事なこと」の選択肢の一つだ。ただ、なかなかそれに気付かない。或いは気付いてもその選択をする勇気が持てない。築き上げた立場を危うくしかねない後ろ向きな判断は、自己肯定感・自己効力感も伴わないと下すことができない。難しいものだ。だが、再起不能になったら、全てが終わりだろう。そうならずに本当によかった。

 

以上、この曲は個人的に思い入れが深すぎて、直視することに不安があることも事実だ。ただ、もう時が癒してくれた。今は多分、それなりに幸せだ。ドキプリで明示されたような、直接的で大きな愛の喜びとは長らく触れ合うことができていないが、人に恵まれて楽しく暮らしている。

本公演では過去の苦しかった記憶や邪念は牙を剥くこともなく、現在眼前で紡がれる歌声を、この演者もきっと色々あったのだろうと思案しながら、静かに涙を流し受け取るだけであった。自分自身を愛し、自分自身を認めるという気持ちをようやく知れた上で聴く「こころをこめて」は、「明日はきっと良いものになるんだろうな」と私を思わせるに充分な時間であった。

 

歌い続けてくださり、ありがとうございます。

 

13. この空の向こう

ドキドキ!プリキュア前期EDにして、到達点の一つ。

ドキドキ!プリキュアは最高である。最高である理由の一つに、利根川貴之×Dr.UsuiというWicky.Recordingsメンバーによる素晴らしいエンディングテーマが2曲も存在していることが挙げられるのは、言うまでもなく皆様お分かりだろう。唐突に良質なシンセポップがもたらされ、ハードコアテクノを初めとした打ち込み系音楽が大好きな私は当時歓喜した。

この空の向こうは…個人的に全てのプリキュアの音楽に序列を付けるとしたら、TOP5には入る。きっと。シュビドゥビ☆スイーツタイムとこの空の向こうで2席は決まっている。プリキュアの音楽は基本的にエンディングテーマを好きになりがちなのだが、それは私がダンスミュージックが好きだから。3DCG化以後も以前もプリキュアのEDといえばダンスだったので、踊らせる音楽がつくことで好きになるのだろう。

 

本曲を初めて耳に・目にした時、衝撃的だった。

EDCGの舞台は終始夜。そして観客の入った壮大なアリーナ。打ち上がる花火。そうか、ここはまこぴーの仕事場所か。謎の隔離空間、教室、教会、自然といった今までのCGの舞台からいきなりスケールアップし、とんでもないスケールのスタジアム様の場所で、観客を従えてプリキュアたちが踊っていた。背景を暗くすると主像たるプリキュアが映える。半分くらい紺色で引き締まった全体像の中に浮かび上がる主役たちの図は、否が応でも観てしまう。進化した3DCGの口元はリップシンクし、プリキュアがこの歌を歌っている。これはドキドキ!プリキュアフェスだ。

 

今作のダンスはMIKIKOが担当。印象的なフリが多く、カメラワークの力も借りてか踊りは面白く、覚えやすい。満面の笑みで両手を交互に出して引いてするキュアロゼッタ、手を上に伸ばしてキラキラ、カウボーイの投げ縄みたいな上空腕回転、指差ししつつ音ハメで腕を横に振りながら下ろしていく動作、VTuberや"インターネットやめろ"なんかですっかり有名になってしまったとある古豪オタクのTwitterアイコンが思い出されるサビの指振りキュアソードなど、自然と身体が動く。今でも踊れてしまった。

利根川貴之による歌詞は抜群の緩急がある。間奏で連呼される「プププ プリキュア」というフレーズは、これだけで「ドキドキ!プリキュア」と通じるほどのパワーを得たキラーワード。Bメロの8分で早口になる部分「何万光年先は遠い未来じゃない もちろん時間の単位じゃないのも承知」というセルフツッコミのようなパートのワードセンス。卓越。神域に達している。「もちろん時間の単位じゃないのも承知」なんて歌詞、思いつくか?それもプリキュアで。謎のグルーヴ感と可愛さ、いい違和感のフックを兼ね備えた過去最強の歌詞だ。その直後「キラメく望みは 光だって越える」と、"光"が表すものが時間とも距離とも限定されない「望み」が比較対象として上がってくることで落とし前をつけている解決も見事。また、ここでいきなり「望み」が出てくることでプリキュアらしくなる。

また、このパートは2番では「一緒にわけあえることとっても素敵じゃない 守りたい君がいること本当に大事」と変化しているが、「じゃない」の同音異義語としての使い方、語尾の韻の踏み方が非常に美しい。「じゃない」は同じ読みでも1番では否定系、2番では○○ですよね?という同意を求めるニュアンスの疑問系だ。「大事」「承知」は最後の言葉が「i」で終わり、当然同じ読みの「じゃない」同様曲中一貫してビートに一体感が出て早口パートのグルーヴを損ねない。

利根川貴之先生、なんて素晴らしい歌詞をお書きになられたのでしょう。

 

このセンス良く彩られた「夢」を描く歌詞たちは、多幸感に満ちるもただ明るすぎない、神秘的なロマンティストともいうべき珠玉のメロディに乗せられ、説得力を増して心を突き刺してくる。Dr.Usuiによるメロディは比較的シンプルで、メロ・サビの構成内で1〜2小節ごとに似たような主旋律がミニマルチックに繰り返される。シンプルだからこそメロディそのものが良くないと響かないのだが、心配御無用。メロディ単体としてもキャッチーだし、エピックトランス調の恍惚感溢れるシンセベースに乗るとエモーショナルで仕方ない。エレクトロでEpicだと全体の雰囲気が重くなりがちなのだが、ドラムスは休符を交えつつ16分で軽快に刻まれるハイハットが音像の上部で踊る16ビートとなっていて、16分の支えが効いていることによってダンスミュージックとして重くなりすぎない上、プリキュアらしいポップス感がある。

結構近いところで聴こえるシンセベース…ともオブリガートともなんとなく違う?アヒルの鳴き声みたいなミニマルシンセ、2拍で3音入る3/4拍子的な可愛げな音のミニマルシンセが曲中ひたすら鳴り続けているが、この修飾音は曲を華やげるだけでなく良い違和感を与えフックにもなっている。

 

とまあ散々好きな理由を羅列してきたのだが、本公演ではもうイントロのジングルみたいな音で全てを"理解"して全知全能の神になってしまった。中10年は特に好きな主題歌が多すぎて大体瞬間湯沸かし器になってしまう。

会場、地鳴りのような声で「プププ プリキュア」のハモリ、相変わらずキレている吉田仁美のダンスにつられ、私もまだ振りをしっかり覚えていたため自然と踊り出す。

この曲は終始トランスのような恍惚感があり、ただただ楽しく、夢を見ているかのような時間が飛ぶように過ぎ、よく覚えてないうちに終わっていた。合法ドラッグこと「この空の向こう」でトリップしてたのかもしれない。

もうこれだけでも十分なのに、後ろにはまだスマプリもスイプリもハートキャッチも控えている。満足という他ないだろう。

 

14. ラブリンク

本公演でWicky3部作の最後となったのがドキプリ後期EDのラブリンク。神秘的なDフラットメジャーで未来の不確定性のような雰囲気があったこの空の向こうから、ラブリンクでは王道の情熱的・自信家的なAメジャーへとKeyが変化し、サビの進行もド王道といった感じで、作品が後期へと進むにつれ仲間との結束を深め成長したドキドキ!プリキュアたちの頼もしい凱歌のように感じられる。

テイストは変わらずシンセポップ。メロディの雰囲気が軽くなったからかドラムスはどっしりとした4つ打ちになり、仁王立ちして自信と信頼が漲る相田マナ生徒会長のようなイメージだ。音作りの傾向は前作のまま、単純により明るくした感じだ。

個人的には、ドキプリEDはこちらも好きなのだが、どこか不安定さを含み緊張と緩和があり恍惚感がとめどなく押し寄せるこの空の向こうの記憶の方が強い。ただ、本曲ももちろん好きだ。明るく楽しく正統派になった感じ。

 

会場全員で「L・O・V・E」ポーズして「プリキュア〜〜〜〜!!」って叫んだ。あの時、完全にumeda TRADだけ平成だった。

バーカンでグルト売ってたりしません?せんか。(老害)

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ライブサーキットが始まる前に行われた「プリキュア楽曲総選挙」なる投票では、この空の向こう・ラブリンクが「ライブで聴きたい曲」第3位・7位にランクインした。多くはOPがランクインする中、ドキプリはED2曲が共にTOP10入りという快挙で、エレクトロ・シンセポップ路線が間違いでなかったと追認される結果となったのは、電子音楽ファンとしてとても喜ばしい。いい曲なんですよ本当に。

 

 

15. Let's go! スマイルプリキュア!

本公演を野球で例えるならひたすら「DH大谷翔平」ばかり並ぶ恐怖の打線と対戦する感じ。本当に力があり、強く、大好きな曲しか来ない。

毎週テンションが妙に高く勢いがあり脳死で楽しかったスマプリ。スマプリの流行をきっかけにプリキュアを知った諸兄も多くいることであろう。東日本大地震の翌年2012年から放送開始。多大なる犠牲者を出した上、リーマンショック後の経済再生の腰をも折る物心両面で衝撃的な災害を受け、日本を明るく元気にする使命を帯びていたのであろうか。

最近だとコロナ禍2年目に出たトロプリがひたすらおバカ路線で、前作ヒープリで現実世界とのリンクもあり疲れ果てたであろう多くのプリキュア評論家を気楽な気分にさせたのは記憶に新しい。ただ、私はあの仄暗く重いヒープリが過去全作品の中でもトップクラスに大好きなのだが……

 

会場は池田彩さん登場。大声量は変わらずハリ感も当時そのまま!

キャラ名連呼パート、どうしてもブチ上がるもの。「ハッピー!サニー!ピース!マーチ!ビューティ!」を昔よくカラオケなんかで好きなキャラだけ連呼してたよなぁと思い出す。私の場合だと「ピース!ピース!ピース!ピース!ピース!」となる。昔通っていたスターライト学園大学W稲田キャンパス時代仲の良かったサークルの後輩は「ビューティ!ビューティ!ビューティ!ビューティ!ビューティ!」だ。

ギターのオブリガートとドラムスは一貫して激しくBPMは早く、過去作OPの中でも屈指の疾走感。現在放送中のひろがるスカイ!プリキュア〜Hero Girls〜の登場でOP疾走感個人的トップの座は陥落するも、未だに次点は本曲だ。

会場のボルテージに身を預け、無心でコーラスや合いの手を叫んでいた。スマプリでアガらないわけがないだろう。

 

16.イェイ!イェイ!イェイ!

はいこれも大好きなんです。許してくださいそろそろ。1番DH大谷翔平から勝負が始まり、今9番DH大谷翔平の打席が終わって2巡目に入った感じです。抑えられるわけないだろこんな打線。こんなボスラッシュ。

プリキュアは基本一途に「OPよりEDの方が好きになりがち」なので、スマプリでもこっちの方が好き。

プリキュア楽曲総選挙「元気が出る曲」1位。本当に納得です。底抜けに明るく、挫けず、元気な本曲の内容を、ファンはよく理解している。それでいて普通にいいメロディ、いいリズムのいい曲なんですよね。

 

 

この曲はザックリ言うと「気が置けない仲間といれば自然と明るく笑顔になる」ということを歌っているのだと思うが、私がこの曲を聴きまくっていた時期がちょうどまさに毎日素晴らしい仲間に囲まれ充実したものであったので、この曲を聴くと個人的な実感をもって私の楽しかった日々やスマプリのワチャワチャした雰囲気が思い出される。本曲には当時をリアルタイムで経験した人間しか知らないであろうあの頃特有のスマプリの"勢い"と、大いに個人的な思い出補正が詰まっている。

 

イントロのギターリフが聴こえた途端に瞬間湯沸かし器みたいになって奇声を発していた。身体はダンスを覚えていた。カメラを覗き込んだ後駆け出したキュアピースが盛大に転んでいた。冷房が全く追い付かずに滝のような汗を流すのも厭わず、持参したタオルでそれを拭う手間も惜しみ全身で本曲を感じ、躍動する。イェイ!イェイ!イェイ!は私にとっての「青春の曲」の1つなのだ。

フロアに気をやると、結構当時のダンスを踊れている人が多かった気がする。特徴的な振りとしてはイントロ/サビ終わりの「いつだって ワクワク」の「ワクワク」で両手を上に4回挙げるお祭りみたいなダンスがあるのだが振りコピ率が高く、もう踊ってたやつら全員即ダチ決定肩パンウェイよ。

 

17. 満開*スマイル! (TVsize)

スマプリ後期ED。(星空)育代!スマイル!プリキュア!私は未亡人の黄瀬千春がですねぇ!(ニチャァ…)

とまぁママキュアの話はここまでとして、本曲も前期EDイェイ!イェイ!イェイ!ほぼ同様の路線で来た。強いて言うなら前期EDからプリキュアシンガーに加わった吉田仁美というボーカルをフル活用すべく、特徴的にハイキーを使う、細かい変化が多いなど難しいメロディになっている。

個人的にはテクニカルになったメロディが…というよりも、シンプルにメロディのクオリティと歌詞の力、グルーヴ感が前期EDと比べて落ちてしまったため、あまり聴き込んでおらず思い入れがない。ヒープリ・ハピチャ同様、前期EDが強すぎたのだ。

それでも曲が始まれば楽しい。単純に楽しい曲が多い作品はライブでも力があり、会場は笑顔と興奮で燃えに燃えていた。

 

MC

池田彩さん挨拶 大阪のミュージカルショーで初めてプリキュアの歌を歌った話

そろそろゲスト(工藤真由)が来る話

 

18. ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪

工藤真由さん登場。アンリミ版より無印のこっち!わかってるじゃない!

スイートプリキュア♪は音楽がテーマなので、当然珠玉の楽曲が豊富にあり楽曲的評価は高い。初期OPの本曲は「音楽の楽しさ」が詰まっており、ヴォーカル・コーラス・楽器とどこを切り取ってもわかりやすく、たまに変化があり、初心者プレイヤーとしてはいい練習になる。特にギターは弾きやすく楽しいコードなので、私も練習に使った経験がある。少し抜いてパワーコードを押さえておけばそれっぽく聴こえるのだ。簡単で楽しい。

イントロ1音目からいきなり緊張感がある。リバースシンバルと憂いを帯びた吐息のような6弦ルートB♭m7のギターが鳴り、La〜というコーラスが重なってくると休符があって歌い出し。かなり硬派な入りで、業界用語らしく言うといきなり「緊張と緩和」を交えながら曲の世界に引き込んでくる。

わかりやすいグルーヴ感のドラムス、Bメロ入りの4小節の転調、ラスサビの輪唱のようなハモリなど、小難しくはないが楽しい音楽的仕掛けが散りばめられ、まさに"音楽のプリキュア"らしい良いOPだと改めて唸らされる。

 

本公演ではこの曲がかかると大体全員がリバースシンバルが止みギターで一撃が入ってきた瞬間に阿鼻叫喚しており、イントロの"仕掛け"の強さを実感する。その後皆「スイースイープリキューアー」と叫び出したりパンパンパパパンとクラップを入れたり、シームレスに緊張緩和パートの楽しさに乗っていき、会場が1つにさせられる。この曲には作品のイメージを抜きにして音楽的内容だけでも会場を掌握できる強さがあるのではないか。くどまゆの力強いヴォーカルにも引っ張られ、楽しい時間だった。

 

19. ワンダフル↑パワフル↑ミュージック!! (TVsize)

Tomorrow Songで灯ったプリキュアゴスペルの息吹を継ぐスイプリ前期ED。ブラスがガンガン鳴り、ジャジーさが増して非常に大人っぽい雰囲気に仕上がっており、そこにプリキュアの音楽らしくポップス感を交えた感性は「天使にラブソングを2」辺りのゴスペルのイメージ。

周りの悪〜い楽曲派オタクの間で開演前「Tomorrow Songとワンパワで絶対にゴスペルコーラスしたい」(オブラートに包んだ表現)と俄かに盛り上がりを見せていたため当然私も"聖歌隊"になったのだが、意外や意外私たち以外の善良そうな皆様もゴスペルパートをガンガンハモっている。

フル間奏のサックスで気持ち良くなりたかったのだが悲しみのShortで終わってしまった。20周年ライブに期待しておこう。

 

20. #キボウレインボウ#

後期ED。音数がえらく少なくドラムスや裏ギターによるリズム主導でボーカルがドン!と乗っかる一曲で、当時はえらいシンプルな曲にしてきたなぁと驚いた記憶がある。

一聴すると穏やかだが、相対的にkickが強いためライブ音響でかかるとグルーヴと程良い攻撃性がある。シンプル故にメロディが良くないと音楽が台無しなのだが、本曲はフックもあり緩急がついたいいメロディなので心配御無用。

内心ややゆったりと、しかし跳ねるように楽しんだ。

 

21. Alright! ハートキャッチプリキュア!

合いの手が楽しい曲。何故かわからないが個人的にこの曲は「非常にスタンダードなプリキュアのOP」というイメージがある。楽しげながらも上品な雰囲気、やり過ぎない雰囲気がそう思わせるのかもしれない。

そんなイメージと、個人的に私はハートキャッチプリキュア!プリキュア沼に完全に引き摺り込まれたので、家に帰ってきたような安心感を抱きつつステージを眺めていた。

 

22. ハートキャッチ☆パラダイス!

工藤真由さん再登場。ヴォーカルはしっとりと落ち着いた感じ。根強いファンが多い前期ED。ギター・ベース・ドラムを主体としたスタンダードな3ピースサウンドにキャッチーな歌詞とメロディが乗る、王道のポップスだ。可愛い・楽しい・踊れると言うことがない。難しいことがなく番人が聴いて楽しい一曲で、ハートキャッチプリキュア!という作品の出来の良さも助けプリキュアファンの中でこの曲はちょっと…という者はいないだろう。

本公演ではあの特徴的なイントロが流れた瞬間フロアが多幸感に包まれていた。私も制服で腕をブンブン振る来海えりかのCGを思い出し、自然と体が踊っていた。

フルバージョンはラスサビからアウトロに入る前に程良い哀愁があり、お別れのテーマ、エンディングテーマらしい後引く感じを宿す。この一工夫がまた聴かせたい、終わらないで欲しいと思わせる。本公演でも「中10年」からするとそろそろ終盤戦であろうことは分かっていたため、えもいわれぬ余韻に浸っていた。本当にいい曲だなぁ。

 

23. Tomorrow Song ~あしたのうた~ (TVsize)

後期EDは衝撃のゴスペル。ワンパワ同様、曲の奥で「フッフッフゥ!」とハモったりハイキーでコーラスする聖歌隊になってしまった。フロアも変わらず聖歌隊だらけだった。

「ハモって!」が「ふぁぼって!」に聞こえるというだけで、極めて限定的なTwitterオタクたちの間で替え歌をしまくっていたのが懐かしい。X?いいね?なんですかそれ。Twitter、ふぁぼ。それしか知らないんですけど…

好きな曲が多すぎるのでゴスペル2曲目もShortかい!とちょっと残念でしたが、まぁ良いだろう。私たちには20周年ライブがある。

 

MC

工藤真由、ゲスト出演の話・プリキュア楽器総選挙の全てのTOP10に工藤真由が歌った曲が入ってたこと 「"ライブで聴きたい曲"1位の曲、歌おうかな〜?」

 

24. HEART GOES ON

先のMC通りプリキュア楽曲総選挙「ライブで聴きたい曲」1位。わかる。古豪ならみんなHEART GOES ONが好きでしょう。神回と名高いファッションショー回・最終決戦の挿入歌で、キーボードとギターの、工藤真由・池田彩という歌姫2人の競演による90年代風な熱いJ-ROCKだ。そりゃプリキュアを愛好するオタク、即ち9割方戦隊モノも好きなオタクはこういうの好きだよね。かくいう私はレンジャーやライダー的な戦隊モノは苦手でほぼ見たことがなく、女児アニメ純粋培養なのだがこの曲は好きである。

本曲を知らない諸兄にこの曲のイメージを伝えるなら、爆風スランプのRunnerみたいな感じだ。24時間マラソンが佳境のタイミングで必ず流れるアレ。ドラムやボーカルこそ毛色が違うが、KeyとGt.が競演し、メロディがエモーショナルで、最終決戦向きの勇気が出る曲。

本曲は工藤真由のゲスト出演が決定した瞬間実質確定枠で来ることが決まっていたので披露されることに驚きはなかったが、単純にバイブスが上がる曲なのでMCの辺りから覚悟を決めていたが、イントロが流れ始めた瞬間やっぱり"瞬間湯沸かし器"になってしまった。すみません、私の負けです。興奮に勝てた覚えがない。

 

この曲を生歌で聴くのは2017年2月以来およそ6年半ぶり。東京都立川市立川駅ペデストリアンデッキ直結の商業ビル、アレアレアでの無銭ミニライブ以来だ。結婚を機に2017年4月での芸能活動引退を表明していた工藤真由、池田彩とのツーマンイベントはこのミニライブが最後とされており、新宿から中央特快に揺られ駆けつけたことをよく覚えている。

その後は2019年1月のプリキュア15周年ライブで1日復帰、また同年9月には芸能活動を再開しておりちょくちょくステージを目にしてはいたのだが、2人揃わなければならない本曲はポッカリと今日の今日までご無沙汰となってしまった。

 

ハイキーの激しい曲がよくマッチする工藤真由と、抜群の安定感の池田彩のデュエットにグイグイ引っ張られる。2人共この曲のことをよく分かっており、コーレスでガンガン会場を煽ってくる。巷で人気なのも頷ける名曲に思い出補正・遠征のテンション・オルスタといった要素が加われば、メチャクチャにならないわけがない。

汗とも涙ともつかない汁を流しながら幸せな約4分半を過ごし、立川からの6年半、いや、ハートキャッチプリキュア!放送終了からの約12年半の精算を大阪梅田にて完了した。

 

25. プリキュア〜永遠のともだち〜

5人全員歌唱での永遠のともだち。完全に意表を突かれ、イントロの瞬間最大風速はこの曲が一番だったかもしれない。冒頭「これが最後の曲だよ〜」みたいなMCがあった気がするが、フレッシュプリキュア!の曲はカバー披露などもなかったため20周年ライブへ持ち越しとなった。

キュアメタル時代を築いた高梨サウンド、クソ長間奏の高梨ギターでしか得られない幸せがあることを、私は知っている。

あのクソ長間奏タイムを使い、アンコール前最後の曲ということで演者から一言ずつ挨拶があった。後ろでギャンギャンドコドコ鳴っているのも味が良い。

オールスターズモノ主題歌らしく会場も大団円という感じでラストハモリを合唱するなど一体となり、中10年の軌跡は幕を閉じた。最後はオールスターズということでフレプリも居ましたね!そうでしょう!

 

再登壇・ラストMC

永遠のともだち終曲後、おそらく広島公演と同じオタクがまた「アンッコール!イグゾ〜〜〜!プーリッキュア!」とアンコールを煽る。程なくして5人再登壇。

池袋公演の告知、CD告知等。5人のMC。特に印象に残っているのは後ろ2人。

池田彩「私が歌っているのは10年以上前の曲だけど、何年経っても歌い続けたい、皆様と楽しみたいと思います。」

工藤真由「(中野での)15周年ライブぶりのプリキュアのライブでした。5年経ってまたこうやって戻ってこれて、歌手として完全復活しました!私の歌に沢山投票してくださったお陰です。私と出会って下さって本当にありがとうございます。」

 

EN 26. シェアして!プリキュア

広島公演に続きアンコールは全員でシェアプリ。広島公演の記事でも散々書きましたがこの曲だぁ〜い好きなんですよぉ…

2020年・ヒープリの時代に出た"比較的新曲"であり中10年の曲ではないため、広島公演と比べ本曲を知らなさそうな人が少し増えた気がする。この反応の微妙な差でライブの「焦点年代の違い」を感じる。

演者が壇上を縦横無尽に駆け回りながら歌っていた広島公演よりもやや落ち着いたテンションでの歌唱。とはいえ、ラストソングなので勿論明るく闊達に、会場も"1曲前"と変わらずたまに大合唱・大団円で、心理的にも物理的にもアツい本公演が終幕した。客席前方上手側にあるエアコンは冷房が追いつかずライブ中盤くらいから、少なくともスマプリくらいから最後までずっと雫を垂らしていた。

 

終曲後・終演後

壇上からありがとう連呼で挨拶の後ハケハケ後に5人の場内アナウンスで終了。

終演後冷静になるとフロアはとんでもなく高温多湿の空間になっており、持ってきたタオルは汗で拭き掃除でもするのかという濡れ雑巾状態になっていた。おそらくこうなるだろうと予想し、オルスタなのでロッカーに預けた荷物や財布以外最小限の持ち込んだ携行品、特にスマホやカード・現金などは防水性のある所謂ジップロックのようなチャック付きの小袋に入れてポケットに入れておいたのだが、正解。裸でポケットに入れていたら汗で水没していたと思う。

過去あらゆるライブに行き尽くした歴戦のオタクも熱中症気味で体調不良を訴えるほどの空間で、物理的な暑さと公演の強度が肉体の限界を突破させる。水、多めに用意しておいて本当によかった…

会場外でクールダウンし、近所のロッカーから荷物を取り出し、汗だくのTシャツから着替え、大阪メトロで仲間と泊まる民泊に帰った。

 

後日譚

8月6日日曜日 旅行最終日

興奮冷めやらぬ中仲間と民泊で宅飲みに興じ、気付けば朝4時になっていた。5時間半寝て慌てて支度しチェックアウト。今回の遠征は現地集合・現地解散だったので同じTRADに集ったみんなとはここでお別れ。

新快速で京都を跨ぎ一路滋賀・大津へ。京阪京津線併用軌道や三井寺などを見学、帰りは京津線京都市にも立ち寄るなど観光客らしい1日を過ごした。移動が楽しい人種なので、今回の旅行で兵庫の端から滋賀まで駆け巡っているが、移動時間は全く苦にならない。地理・交通好きはつくづく得な嗜好だ。

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夜になり、本当なら京都から新幹線夢原のぞみ号で東京へ帰れば速いのだろうが、ひろプリコラボに惹かれ予約したLCCPeachが待っている。京都駅からでなく和歌山寄りの関空から出発、品川・東京駅からでなく成田空港から帰るので所用時間としては全く旨味がないのだが、予約してしまったものは仕方ない。

Peachのひろプリジェット・JA827Pが来ないかflightradarを追いかけると、丁度新潟から関空に降りて来たことを知る。関空のホームページでは到着便がどのゲートに駐機したのか、出発便はどのゲートから搭乗予定かがわかるのだが、関空のホームページを信じれば、新潟からのJA827Pが入った95番ゲートは時系列的に私が搭乗予定の成田便まで出て行く気配がない。勿論、整備などで回送されて別の機材が充当されることも無きにしも非ずなので決まったわけではないが、帰りの飛行機がプリキュアジェットになるかもしれないという大きな期待が生まれてきた。

 

ひろがるスカイ!プリキュアジェット JA827Pに搭乗

居ても立っても居られず無駄に早く関空に向かいオンラインチェックインを済ませると、帰りも幸運なことに機体後方ではあるが窓側。往復共座席指定せず窓側席を得ることができた。

LCCPeach用で無骨な関空の第二ターミナルは、展望デッキもなければ建物の中から飛行機を見ることもできない。40分遅れで始まった搭乗手続きに一番乗りし、ゲートを抜け無骨なターミナルから屋外に出ると、運命の瞬間。

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そこには当時運航中だった「34機中1機」の、待ち侘びた機材が待っていた。JA827P・ひろがるスカイ!プリキュアジェットが見えた。瞬間、人目も憚らず、吠える。プリキュアライブのために予約した飛行機がプリキュアジェットという運命の巡り合わせ、自身の豪運とPeachの機材運用に心から感謝した。

ボーディングブリッジでなく地上からタラップで搭乗なので、ガラス越しでなく生で写真が撮れるのも嬉しいところ。週末日曜日の東京行き最終便、タラップまでの道中警備員に急かされるまでミラーレス一眼でバシャバシャ写真を撮っている最中、手荷物にプリキュアの缶バッジなどを付けた明らかに「同じライブ帰り」と思しき見知らぬ同志も何組か散見され、機体後部のラッピングに気付くと皆一様に喜びの声をあげていた。

 

搭乗、離陸後は1機しかないこのJA827P機内販売限定のコラボグッズなどを買い、購入量に応じたノベルティのウエットティッシュや友達へのお土産用にと非売品A320ステッカーまで頂き、すっかり満足。22:10到着予定だったはずが40分以上の遅延で成田空港からの終電が際どいことなどどうでもよく、ただただ満足したナイトフライトを楽しんだ。

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成田空港に到着すると、ターミナル直付けのボーディングブリッジではなく沖留めのタラップ降機でバス移動。大遅延で終電が際どいため多くの乗客は我先にとバスに乗り込んでいたが、1本見送ってその間ひたすら至近距離からプリキュアジェットを撮影。勿論制限エリア内なので明後日の方向に走り出し〜などは論外だが、警備員に怒られない範囲・時間で集中して構図を決め、サッと連写してブレていないことを確認したらすぐにバスに飛び乗った。

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至近距離から見上げた構図で撮影できるのは、運良く搭乗できた人間だけの特権だろう。主翼裏のレジ番と垂直尾翼Peachロゴ、そしてラッピングが収まっている写真はとても気に入っている。

 

ターミナルバスが1タミの建物に着いたのが22時54分。成田空港駅を出て都内に向かう列車は23:00のスカイライナー、そして23:08のアクセス特急高砂行き最終を残すのみ。ターミナル内を小走りして特急券を課金しスカイライナーに乗れば最寄駅から帰れたのだが、最終のアクセス特急でも+6分歩くのが長くなるものの家から2番目に近い駅までは帰れるので、プリキュアジェットの余韻を楽しむかのようにゆったりと空港内を歩いて終電に乗車した。

何度かの乗り換えを経て帰宅したのは深夜1時すぎ。旅行鞄から洗濯物をかごに放り込み、シャワーを浴び歯を磨いてすぐに横になる。寝て起きた月曜日も代休で休みだ。充足した気持ちで程なく眠りに落ち、怒涛の4日間が幕を閉じた。

 

感想 総評

ライブレポートとは題したもののほぼ自分語りと楽曲レポートに終始して大脱線しているが、オタクなので紡がれるパッションを抑えられなかった結果である。勘弁してほしい。

 

狭めのオルスタ会場でのライブということで元気の良いオタクが多く、プリキュアライブとしては過去一番熱量が高かったと胸を張って言うことができる。商業的には採算が合うのかわからないが、この成功を機に、是非ともまたこのようなライブハウスでのオルスタイベントを開催してほしい。会場の雰囲気は「終始熱狂していた」と報じる。

熱狂そのままにこの2週間後、チケットを取っていなかったはずの東京公演にも行くことになってしまうのだが、今のところ東京公演は配信もあったのでレポート記事は割愛しようかと考えている。10月21日に行われたひろプリライブも、同様の理由で記事にまではする予定がない。

次に書くなら映画プリキュアオールスターズFの感想・考察だろうか。ただ、なんせ感情が巨大すぎて全て文字で起こすとこのような物量になってしまうため、私もしんどい。お読みいただいている貴方もきっと今しんどい。

 

総計28,000字に迫る乱文へとお付き合いいただいた読者の皆様、プリキュアファンの皆様、ありがとうございました。

20周年イヤーのラストスパート、まだまだ楽しんでまいりましょう。

 

かしこ

 

【ネタバレ大・イベントレポート】2023.10.6(金) 18:30〜 新宿バルト9 「映画プリキュアオールスターズF ”F”ナイト【応援上映&スタッフトーク】上映」スタッフトークレポート

 

2023.10.6(金) 18:30〜 @新宿バルト9 シアター9

登壇者:田中裕太(監督)、田中仁(脚本)、板岡錦(総作画監督・キャラクターデザイン)、村瀬亜季(企画)、田中昂(企画)

 

はじめに

唐突ながら、私は本作の裏話や製作陣の考えていたことなどは「後学のために遺しておかなければ」と思っている。

というのも「何年も後にまたプリキュアを見た時」にも思い出して欲しい根源的なテーマにアプローチしており、本作という金字塔が今後の「プリキュア」のチェックポイントとして、少なくとも私の中で機能し続けることは確定しているからである。本作の総てが衝撃的であり、観せたいものの構想から細かい演出、機微に渡るまでが上質であったが故に、おそらく私だけでなく、本作を鑑賞した多くのプリキュアファンは多かれ少なかれそう感じるはずだ。

本公演で語られた秘話を遺しておかないことは、私だけでなく多くのファンにとっての大きな損失となると決意し、速記で記録・記憶している限りの内容を書き出すこととした。

 

要所でとったメモを記憶と共に加筆し、面白かったところ・気になったところを起こしたものである以上、発言の言葉尻や語順などはかなり異なるであろうことは先んじて注記いたします。トークのニュアンス・エッセンスを伝えることが何より先決であり、メモの速度・記憶の限界もあるのでご容赦を。

途中文語と口語が入り混じっていたりするのも勘弁してください。

 

応援上映終了後

6脚の椅子がセッティングされ、真ん中にプーカのぬいぐるみが着座。

村瀬P・田中昂P・脚本田中仁さんが上手袖から登場。

その後東映作品の舞台挨拶といえばお馴染み、司会の寺迫麿さん(以下●黒丸)から「残るお二人は皆様と一緒に応援上映を観ていました」との旨の紹介があり、客席(上手前方)から田中裕太監督と板岡錦作画監督が登場。この2人は観客席から応援上映を一緒に鑑賞していた。

 

<勝手ながら以下敬称略>

 

席次

(下手)村瀬 板岡 プーカ 裕太 仁 昂(上手)

 

●改めて5人揃ったところでご挨拶

板岡「おじさんの集まりの舞台挨拶なんて見に来る皆さん、どうかしていますよ。本当にありがとうございます。」

田中昂P「3人目の田中です。色んなところで田中3人でやってますけど、この2人が偉大すぎるんで、僕は0.5くらいです。なので2.5田中くらいです。」

 

●(壇上の5人の)そのお召し物は…?

各人が映画プリキュアオールスターズFのスタッフジャンパーを着ている

髪がはためいて"F"の字に見えるキュアプーカのシルエットがメインロゴのジャンパー。プリント箇所は背中側と前側胸部。紫・青とカラバリがある様子。

 

板岡錦「一度『スタッフジャンパーを着て仕事をしたかった』と自腹を切って作った。キュアプーカだからネタバレになるんで普段は着れない!」(笑)

なんと板岡先生自費製作とのこと。

途中倒れそうになるプーカ人形を直す板岡と裕太

 

●村瀬P・田中Pへ「ズバリ"F"について伺えますか?」

村瀬 「今作に込めた想いとしては、全シリーズ好きでいて下さったあらゆる皆様に観ていただきたいという想いであれこれ詰め込んで作りました。プリキュアの持つ大切な要素は色々あるかと思うんで、"F"にその色々な要素をかけて作品をリリースしました。」「これはちょこちょこインタビューで言ってるのですが、"F"最終ティザー映像の"Final…?"という(意味深な)カットは、もし(このスタッフで作るのが)最後、Finalになったとしても、悔いのないようにやろう!という意味合いを込めて"Final…?"としました。」

 

田中P「この映画が持つメッセージとしては"Forever"永遠に続くというよりも、"終わらせない"つまり"Not Final"の意味の方が強くて…… 実は今作のロゴ、途中で改訂されて"プリキュアオールスターズ"という部分の後ろにリボンみたいなので"N"が入っています。実は"Not Final" "Never Final"の暗示。皆様気付きましたか?今日初解禁です。」

村瀬「この"N"の話、ほとんどの人が知らなくて、監督とPくらいにしか明かされていないです」

板岡「いや今初めて知った!」会場拍手

村瀬「なのでロゴ策定の段階からこの想いは固まっていました。」

 

<筆者注:隠れた"N"については本トークショー直後プレスより記事が出ています。/ "New Friends"・"New Futari"とかも掛かっていそうで、想像が膨らみますね>

news.yahoo.co.jp

 

●司会 田中裕太-田中仁のゴールデンタッグ、改めて2人で仕事をしてどんな想いでしたか?

監督「何度も仁さんとは一緒に仕事をしてるので、何の心配もせず、お願いします!という感じで…」

田中仁「僕も裕太さんだったら間違いないと思ってご一緒してました。」

板岡「なんかイチャイチャしてる」(笑)

監督「もう仁さんとタッグを組むのは4作目?自分がやりたいことをどんどん広げていただいて、70分に到底収まらないものを無理矢理入れ込んでもらって、流石だなぁ〜と」

 

仁・監督「オールスターズ78人出るの、最初は構想外で、2人とも無理だと思ってた」

監督「チロっと、途中からどうせ78人出るんだろうな?とはうっすら感じてたけど、こんなにしっかりみんな出るのは想定外。」「シナリオ途中まで考えてたんですが、急に映画デパプリの頃から村瀬Pのギアが上がった?『これじゃダメだ!』みたいな村瀬Pからの突然のダメ出しがあった」

村瀬「いやでも良かったですよね、皆さん(笑)」拍手

 

<筆者注 別媒体でも語られている前情報:本作は当初オールスターズにする想定ではなかったが、途中からあれよあれよと話が膨らんできて結局全員出すことになった。監督の中では当初Goプリ以降の近9作に焦点を当てた映画にする構想で用意をしていた>

 

●板岡錦が自ら作画監督志願した背景

板岡「メージュとかインタビュー載ってる雑誌読んでればどこでも載ってると思うんですが『監督好き好き〜♥』みたいな風に見えるでしょ(笑) でも観ていただいてわかるでしょ。この人についていけば間違いないと。」

<筆者付記:これは板岡先生の仰る通り、メージュでもメディアでもWEBインタビューでも出ている質問で、どれも一貫して同じ答えが書いてあります(笑) より具体的に知りたければ各媒体をどうぞ。>

 

●板岡さんの制作の日々を振り返ってください

「最初から〆切が決まってるから割り算で1日どれくらいやっていけばいいか、日割りで計算していた。映画、例年10月末なのに、今年のプリキュアは去年に続いて9月な上、更に1週間も早まった」「積まれた仕事をひたすらこなすだけでした」

「78人出すって、口で言うのは簡単だけど、現場はね…(笑)」

 

●監督へ「プリキュアって何?」というテーマに辿り着いたきっかけは?

「20年プリキュアやってきて、自分の中でも"プリキュア"がわからなくなってきた。男の子もアンドロイドもいるし…」

「で、プリキュアって何なんだろうと改めて思い返してみて、それがテーマなんじゃないかなぁ…とやってみた次第」

「新作のプリキュアを考えるとき、毎年"プリキュアって何?"って新規企画の人の間でいつも悩むと聞いていたので、それで…」

(新規企画担当)田中P・村瀬「それこそ深夜…いや、朝までやったり…」

 

●田中仁へ「全プリキュア、78人出すにあたり大切にしたこと」

田中仁「まず…絵を、78人描く大変さね」

板岡「大変です!!」(笑)

仁「78人1人1人の想いというか、最初にシリーズ構成を担当したGoプリをやる前、初めてオーディションとかにも参加して、キャストがどれだけその役に総てを懸けているかを知った。キャストにとってはその役が自分の全て。その一件以来なるべくその想いに応えるために各キャラを描こうと脚本しており、今も実践しているが、それが78人というと…」

監督「てか78人じゃなくてもっと出たよね(笑)」「そろそろ顔と名前が出てこないよね(笑)」

 

●もしまた観る時に「ここを観て!」というポイント

・田中P「シュプリームのプリキュアのロゴ」

監督「シュプリームが出てくるシーンの紹介字幕が入るシーン、右下に『(ほにゃらら)プリキュア』というシュプリーム専用のロゴが出るけど、あれの"プリキュア"の上、(キリル文字みたいな)読めない文字になってるとこ、結構こだわってリテイクも入れつつ発注してて、実はとある言葉の変形文字になっていて、よく目を凝らすと読めます。」

田中P「私は停止してよーく見ましたがわかりませんでした!」「ビデオ買って止めて見て!!」

 

・村瀬P「シュプリームの特徴的な足音」

監督「足音に特徴出したいんですよ〜と音効担当にお願いしたら『わかんねぇよ……(その音効さんのモノマネで)』みたいなことを言われた。だけど音入れの段階でいい音をつけてもらっていた。」「シュプリームの発する音は衣擦れの音などもすべてエフェクトがかかっている。」

田中P「序盤の上からシューっと降りてくるシーンの音がいい音!」

 

・板岡「なんで最後のシュプリームは黒いの?」

監督「元々シュプリームは異界から来た神様のモチーフで、(※) 完璧・超越イメージの、気高い白のイメージだった。ただ、神様のような、完璧な存在が、プリキュア=人間と触れて、感情などを知った、いわば"シミに染まった"ことを示すために、黒くなった。ラストシーンは一度生まれ変わってるイメージ。」

「ラストシーン、プーカとプリムが白と黒のふたりはプリキュアに見えるところは、最初から構想してたわけでなく、シュプリームを黒くしていったらたまたま初代のオマージュになったもの。当初より意図してたものではない。」

 

<※筆者注:日本神話に着想を得たのではないか?と考えていたため、神をイメージしていたと聞いて少し鼻が高い。国作りの神話とか?公開日にそのことをツイートしている。>

 

 

<筆者付記:プリムとプーカを一般的に「寂しがり屋」とされるうさぎのモチーフにしたのは、ラストシーン「あの時からもう変わり始めていた〜」のくだりに向けた伏線のために意味ありきで決めていたと思っていたが、そうではないらしい?と明かされている。

アニメージュ2023年10月号インタビュー掲載「なぜうさぎモチーフなのですか?」という質問に対し、監督より「映画オリキャラのデザインを考える上で、モチーフがあった方がいいよね、ということで出た色々な案の1つ。うさぎが身近で可愛いし、今年は卯年だしうさぎに決めた」旨が語られている。

メージュのインタビューはプーカの名前の由来なんかも載ってます。気になる人は是非買ってください。>

 

・田中仁「最後のとこが好きかなぁ。」

仁「(監督にシナリオを出すと)必ず+αを付加して返ってきて、こういう構想があるんだ、と嬉しい。」「娘とバルト9に本作を観に行ったら、娘がラストバトルでミラクルライトをブンブン振ってて、怒涛の映像に圧倒されてたら終わってしまった。」

監督「ハグプリ37話(オールスターズメモリーズに向けた全員集合回)で一度ああいったこと(全員バトル)はやったのだが、それと同じことをやった。大分人数は増えたので、78人の構成チャート?のようなものを用意して、出したプリキュアは"×"をして消していって(会場戸惑いと笑い)、最後に『78人、やっと入った…コンテ切れる…』みたいなことを考えてやりました。」

田中P「あのバトルシーンの組み合わせ、監督から『ネタない?』って訊かれました。」

監督「あんま返ってこなかったけど(笑)」

田中P「僕が送ったやつは没になりました(笑)」

 

●そろそろお時間が……

板岡「こっちはあと…5時間くらいは行けますけど(笑)」会場拍手

 

告知タイム 10/13金の応援上映決定

 

●最後の挨拶を

・田中P

「15周年の映画を超えられたんじゃないかな、いや、それに比肩するくらいかな、どちらも遜色なく面白いものに仕上がってると思います、ホッとしてます。」「周年イヤーということで、まだまだ後半戦も盛りだくさんです。オトナプリキュアも始まりますし、まだ声を大にしては言えないんですけど、2月の"アレ"(感謝祭?)も、やる予定です!」

「残り半年、一緒に盛り上がってくれますか〜?」「本日はありがとうございました!」

 

・村瀬P

「皆様からの声を頂いて感じることは、こちらとしても映画を作り切ったなとは感じているんですが、皆様の反響・力が本当に凄くて、皆様の声で映画を大きく成長させていただいているなと感じます。何回も何回も観てお楽しみいただけたらなと思います!」

 

・板岡

「色々考えてきたんだけど、なんかもう喋んなみたいな雰囲気で(笑)」

「プーカのぬいぐるみ制作秘話とか考えてきたんですが、みんなプーカ可愛いよね?」「ただプーカのグッズ全然なくて、売店に。みんなプーカのぬいぐるみとか出たら欲しい?」(会場「欲しい〜!」「シュプリームも!」「シュプリームのパーカー(これ私の発言です…)」)

板岡「シュプリームのパーカー(拾われる)」

「この声メーカーに届けばいいな、おもちゃメーカーとかアパレル会社とかの人、この中にいません?笑」

 

<筆者付記:プレミアムバンダイさん、本当にお願いします。>

 

・田中仁

「僕だけでなくスタッフのみんなの想いが映画となっています。これからも映画は続くので、何度も観てくれたら嬉しいです。」

 

・監督

「色々な評判を聞いていまして、映画を暖かく受け入れていただいてるなという印象があります。ありがとうございます。」「また、今回シナリオ上、あんなキャラだしプリキュアに勝ってるという、敵キャラのキュアシュプリームが意外と受け入れられているということが、個人的に嬉しかったなと。」

板岡の横槍「俺も良かった。」(会場笑い)

監督「プリキュア関わって長いんですけど、その決算になればいいなぁと。色んな人の力を借りて、仲間やお客様のおかげで、20周年を飾る映画としてほぼ成功と言える結果にできたのではないかな〜と思います。」

「上映はまだまだ続くので、また2回3回と、足をお運び頂けるといいなぁと思います。」

 

 

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筆者より おわりに

取り急ぎスタッフトーク、覚えてる限り出してます。このブログが皆様の"F"再鑑賞におけるスパイス、手助けとなれば幸いである。

書いた私がまた観に行きたくなっていて、映画館から帰って、考えてはまた疑問や感動が湧き上がり、もう一度観たくなって…を繰り返し、本作を10回は観てる上で、また行きたくなっている。

 

トークでは既にWEBインタビュー・アニメディアアニメージュ等で公開されている内容については前置きした上でサラッと流し、未公開の内容・今まで触れられていない内容に焦点を当てた質問・回答が多く、非常に創発的で示唆に富む時間であった。

来年発売されるであろう映画のブルーレイには、是非スタッフのディレクターズカットエディションとか、オーディオコメンタリーとか、製作秘話ノートとか、更に本作を深堀りできるコンテンツがついた豪華版なんかをリリースしていただけると嬉しいです。

「過去最高傑作」が、私の中の"プリキュア観"を刺激して止まない。

 

素晴らしい作品を世に送り出して下さった製作者の皆様、スタッフトーク上映を企画運営してくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。

 

本記事はレポートを書いた形だが、これとは別に映画を観た際単純に私の内面で起こったこと、つまり映画を観て感じたことや、特徴的な場面に対する私なりの観点なんかを詳細に語った記事も書きたいと思っている。ただ、なんせこの物量になりそうで時間がかかることは言うまでもない。

筆が遅いこと、お許しください。

【ライブレポート】2023.7.1「プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!」Vol.1 <2019-2023 Newest 5 Years 〜広島公演〜> に行ってきました。

 

前日譚

今回の演者は近5年の曲を多く歌う4人。

石井あみMachico・吉武千颯・北川理恵

歌唱力モンスターが多くこれは楽しみな予感。ヒープリが好きなこと、ライブをきっかけに旅行したかったこともあり、即座に広島と大阪は行きたいと決めていた。

が、大阪は当たるも広島のチケットは支援含め全員ハズレ…途方に暮れているも、Twitterでチケ余らせていた方から譲っていただき、喜びの参加と相成る。

 

月末月初ながらライブ前の水木金・有給3連発を上司に直談判し、普段こう見えてもしっかり働いていた積み上げか快くOKをもらう。

もっとも、有給の許可を取る1週間前にJAL6600円セールでキャンセル不可な水曜羽田発のチケットを買っていたため、この3連発が却下されることはハナから想定していなかったのだが。何が何でも休む。その鋼の意思が大事。

 

6/28水曜、朝一の便で向かったのは広島ではなく愛媛・松山。

愛媛県にある機械遺産のようなものを生で観てみたく前付け旅行を愛媛に選ぶも、その機械は儚くも旅行3日前に故障してしまい、やや失意の中降り立った。

以後は書くと長くなるため、7/1当日までの様子は写真だけに留める。

九州や山陰に大きな被害をもたらした線状降水帯が出来上がりつつある頃で、当日まではかなり雨に困らされた記憶しかない。

特に松山から広島港まで船に乗るも、難所・音戸の関を抜けるところで凄まじい大雨に振られてしまい、見晴らしの良い甲板に出られなかったのが悔やまれるところ。

 

当日 開場

迎えたライブ当日7/1土曜日。

前日の夕方から広島は豪雨が降り、7/1はなんとJR西日本が広島駅発着の在来線を全て停止してしまった。

閉鎖される在来線改札

ただ、前日深夜はホテルの部屋からでもわかる物凄い雨だったが、当日は降ったり止んだりでそこまで大したことはなく、JR西日本の在来線以外、船・市内電車・新幹線・飛行機↔︎高速道路(空港連絡バス)は問題なく運行していた。

当日入りする仲間のオタクは皆新幹線か飛行機利用だったので問題なく広島に参集し、開演までは仲間と市内をブラブラしていた。

 

開演3時間前、ホテルに荷物を置き、ひと休み。

シャワーを浴び、着替えて、荷物を減らして、広電に乗り込み会場となるブルーライブ広島に向かった。

会場最寄り電停 広島としか形容できない景色

少し歩き港湾地域にありがちな太い道路を超えると、いきなり海。

大雨の後だったので海が汚いが、絶好のロケーションのブルーライブ広島に到着。

別の宿に荷物を置いた仲間や、見知った顔も続々集まり、ボルテージが高まってくる。

入場↓

 

入場 そして開演

会場内に入ると、プリキュアシンガーズ3公演のうちここだけが座席制。

可もなく不可もなくというような事務用椅子が並ぶ。そこまで狭くはなかったので好印象。

 

準備を整えて開演時間が近づくと、演者による開演前MCがスピーカーから流れる。開演に先立つ諸注意ともう少し待っててねという内容。

広島出身の吉武千颯・Machicoがいるとくれば、当然広島弁を交えて。

暗転する会場、会場が狂喜に包まれると、開演時間であった。

 

1 ひろがるスカイ!プリキュア〜Hero Girls〜

「近5年作品のライブの幕開けなら当然今作のOPしかないよね」という、幸せの予定調和。

ライブらしいライブは初めてという石井あみが、初々しくも堂々と一人で立つ。

1音目からいきなり表声と裏声の境目といわんばかりの発声が難しいパートの本曲、記憶では歌い出しこそ少し音を外したものの、サビの同一パートに入るとしっかり歌い切っていた。


プリキュアのOPとして、過去一激しいのではないかと思わせるこの曲。オーソドックスなスリーピースのロックサウンドに、プリキュアらしい美しさ・上品さを示すストリングス、そして澄み切った石井あみのヴォーカルを加えれば、あら不思議激しさの中にも品格のある、プリキュア・ロックの出来上がり。

最初は取り立てて好きなわけではなかったが、フルを聴き込んでいくうちにどんどん好きになってくる。2サビ後の激しいギターパートで心を昂らせ、Cメロでやや泣きと緊張感も加えつつ、落ちサビで一旦タメを作り、ラスサビで全てを開放。

空へ、突き抜ける。非常に爽快である。


プリキュアとしてヒーローっぽいOPを作るとしたら、こういう音選になるよね」という「満点の積み重ね」を感じる、20周年というアニバーサリーに新たなプリキュア観を投げ掛ける、新たに加わったアーティスト・石井あみの名曲から、公演がスタートした。


MC

シンガーの自己紹介 広島出身勢!凱旋!


2 キラリ☆彡スター☆トゥインクルプリキュア

プリキュアとしては"比較的"最近の作品であり、スタプリは単独ライブも行ったりと結構聴いているはずのこの曲に、懐かしさを覚える。

2019年の作品、4年前。近いといえば近いが、遠いといえば遠いか。久々な感じがした。

コロナ禍の前と後で記憶が大きく隔たっているという事実が、自分の中で浮き彫りになった気がした。

北川理恵さん、流石の安定感。


3 パペピプ☆ロマンチック

今!今!今!

頭の中でここに書くのが憚られる替え歌(ミーム)が出てきて困った。

ベタベタなインベーダー感を出してくる昭和チックなテクノポップを、宇宙人と共闘する作品に持ってくる遊び心に当時は驚いた記憶。

近年、昭和っぽいネオンとかが新宿歌舞伎町の資本主義ビル始め世間一般の若人に向けたミームとして消化されつつある現在、このEDの映像は4年前にして先端を走っていたと勝手に宣言したい。


4 星座のチカラ

近年のプリキュアライブでも結構ブチ込まれており、色褪せない人気を覗かせる一曲。

12星座コールの「トーラス ジェミニ」のところだけ死ぬほどデカい声が出る。

私を競馬に目覚めさせた馬の名前なので…


5 Starry Story

イントロが気持ち良すぎたのと、まさかここでという意味で、変な笑いが出る。

夜モチーフ。雄大な星空、天の河、天体ショーを思わせるイメージソング。曲を聴いて意味合い、映像が連想される。いい曲を書いた、歌ったなぁ。素晴らしい。


6 教えて…!トゥインクル

人間たちはどこからやってくるの〜

キラヤバですね。

妖艶ながら気怠い「ピポパポピポォ…」がメチャ好きポイント。


MC

石井あみによる教えて…トゥインクル好きポイント解説があったような…気がする

ヒープリ衣装久々に着た話


7 ヒーリングっと♥プリキュア Touch!

ヒープリ、個人的にかなり好きな作品なのにコロナ禍でライブがなく、以降の単作ライブで歌ったりとちょこちょこ救済されてはいましたが、遂に声出しで観れたことに感謝。

北川理恵さんの生歌唱、バーケモン!!

わけわかんないほど跳んでた。


8 Good Good ハ〜イ!

正直に告白しますと、聴いてなさすぎてガチで思い出せずイントロが来た瞬間に「へ?何このリトル・チャレンジャー(WUG)みたいな曲は」と思っていました。

やたらとせわしない掛け合いで歌い出して思い出した瞬間、ハモリを覚えていた自分の身体に驚く。


9 Circle Love 〜サクラ〜

声出しというか、多動OKのこの環境でのサクラ。待ってました…

間奏からのラスサビの"無敵感"おかしすぎて、終始圧倒されつつもピョンピョン跳ねる。

歴代プリキュアソング全てのランキングを作るとしたら、TOP10には入ってくると自負する、超大好きな曲。

ライブハウスらしくCompをかけ低音が良く出る環境で、あの重いkickと踊るbass、それに負けないMachicoの明瞭なヴォーカルを浴びる。本当にこれがやりたかった。


EDのダンス・映像も好きで、時計の針が回るような動きで夜空が回り、天地逆転していくところ、サビでフラワーメロディベルを両手で持ってグルグル円を描き跳ねるところ。

映像美と歌詞・リズムにハマった印象的な振り付けが完璧で、全てが絶妙と感じられる。


この曲の歌詞をなぞってみると、これは「原因不明の病」から回復し、自分の足で新天地に立ち、友達を作り、いわば"全く新しい人生"をスタートさせた花寺のどかのことを歌っていると、容易に理解できる。

過去の苦しんだ経験も糧にした上で「希望と喜び」を決意し、高らかに宣言する。

長きに渡り病床に伏した人間が、快癒し、ほぼ初めてとなる院外の生活に心を躍らせる。

花寺のどかという壮絶な過去を持つキャラクターの心情と重ねると、歌詞の説得力が格段に増す。

最早、EDというよりOP。新しく、素晴らしい人生の始まりの歌。


落ちサビの「綺麗な夕焼け 輝く星空 素敵な景色 見つけていこう キミともっともっと」のところ。旅行好きという性分、ライブの直前にブルーライブの対岸・愛媛県は下灘駅で綺麗な夕焼けを見ていたこともあり、噛み締めて、号泣。誇張抜きに号泣していました。


奇しくもヒープリ放送開始と同時の2020年上旬、世界的に未知のウイルスが猛威を振るい、生活様式が一変してしまったという事実。そのウイルスとの戦いから脱しつつあり、生活に確かに光明が射してきた2023年夏という"今が持つ希望"が、この曲を歌った当時の、立ち上がれるようになったばかりの、花寺のどかと重なる。


音楽・ダンス・映像・歌詞・声出し解禁。三位一体ならぬ五位一体、さらに今日だけは「出かけようスペシャルデー」で、東京から広島までやってきたという特別感・高揚も加わり、無論同曲のステージでは過去一であったことは言うまでもない。

跳ねて踊ってクラップして叫んで泣いて笑って、全身で楽しむ。


生きてるって感じ!!!!!


11 Grace Flowers

許してくれません。高まりを停止することを。

強く、美しい、映画挿入歌。

のどかの曲であり、アスミの曲でもあり、ヒープリ本編終了後の映画公開ということもあってか、この作品を総括するかのような一曲。

ギャン泣き止まりませんでした。

本当に観たかったんです。単独ライブがなかったんで…

北川理恵さん、すごすぎ(本日4回目くらい)


12 やくそく 〜Original Remix Version〜

Machicoプリキュアのうた!収録の、ピアノイントロの余韻で始まる方。

ヒープリファンとしては、ここまでセットリストに散々殴られた後、静かにサイレントキラーにトドメを刺された感じ。

泣きすぎてよく覚えてない。

真実の高まり号泣があった。

ヒープリが好きで良かった。


13 We are Alive!!

イントロが始まった瞬間、会場から、私の全身から、断末魔が上がった。


ヒープリ最終回挿入歌。

シリーズ屈指の速い曲。シリーズ屈指の名曲。

ヒープリの楽曲、本当に強いんで、聴いて!digって!!

Aメロからサビにかけてどんどん手数(楽器)が増えてきて、サビで爆発する。

仲間が合流してきてクライマックスに至る流れは、シンプルだけど強い。

1曲目Hero Girlsのところでも書いたが、速くて激しいのに気品を兼ね備えるのが、実にプリキュアの音楽らしい。


同行者の1人が「We are Alive!!ホンマ観たい」とずっと言ってたので、そのことを思い尚良かったという気持ちが増幅する。


一本調子になりがちな、軽快な速い4つ打ちをブレイクするのが、間奏明けのCメロ。

いきなり5拍子に転換し、畳み掛けるかのように、重厚に歌詞を叩き込んでくる。

このCメロに抱かれ、落ちメロで溜めると、急転直下また激しいラスサビ。恍惚感、多幸感、全能感が凝縮された「これから明るい未来が訪れるんだな」と確信せざるを得ないパート。夢中で音楽を浴びる。


作曲:森いづみ

編曲:森いづみ

作詞:こだまさおり

な〜んだ。勝利が確約されてるじゃん…

本当にいい曲作るなぁこの人ら。最高です。

容赦ないテンポとメロディの曲を歌い上げる北川理恵さんに拍手を。


兎に角、ずっと観たかった。

今日は、ヒーリングっど♥プリキュア感謝祭 広島公演です。


Circle Loveからここまでの流れ、全部強力すぎ。

北川理恵さん、カッコ良すぎです。


MC

ヒープリとコロナウイルス

怒涛の北川理恵パートを褒めちぎる演者

広島の美味しいもの…お好み焼き!牡蠣!


14 Viva!Spark!トロピカル〜ジュ!プリキュア

会場であるブルーライブの目の前は海。

歌唱するMachicoは地元広島出身。

この場所で歌われるべくして歌われたトロプリのOP。

夏海まなつに倣い広島入りを「船旅」にした自分を褒めたい。ライブ前からトロピカってるんで。


地味に歌詞の細かな変化が多く、リズムもハメにくい場所があり歌うとなると難しい気もするが、軽快に歌い上げる。

このライブ、ヴォーカルに耳を澄ますと、口パクがなく全て生歌なので信頼ができる。

てかMachico本当にキーブレないし上から下まで良く声出るなぁと感心。


コーレスが多く、作品に恥じぬバカ明るい楽しさ。完飲。ごっそさん。トロピカりすぎ。


15 トロピカI・N・G

チルめなイントロで会場を一撃で掌握、ツカミは完璧。

もう1人の地元出身者が元気に歌い上げる。

ボーッと見惚れてたら曲が終わっていた。(何故かボーッとしていた)


16 CLAP! 〜勇気を鳴らせ〜 / Machico・吉武千颯・北川理恵

待望の声出し・3人歌唱!

コロナ禍で声出しが出来ない中、おそらく「手拍子で一体感を出せるボス曲を」との明確な発注があったのではないかと感じさせる、近年の単作ライブでも定番のバイブス曲。


シャウト、高音パート、ラップパートなど目まぐるしく跳ね回る本曲、シンガーが闊達に歌い上げ、フロアを制圧する。

言うまでもなく盛り上がった。


17 あこがれGo My Way!!

「朝〜夕アニメらしい元気なエンディングテーマ作って」と言われて出てきたかのような、個人的には"超スタンダードなアニソン"と感じている本曲。

疾走バンドでストップがあったり、コテコテな落ちサビがあったり、コーレスがあったり、"ああ、アニソンだなぁ"といやに安心する。


イベントでは長らく北川理恵と吉武千颯が共演する機会がなかったのか、吉武千颯単独での歌唱が続いていたが、遂に原盤の2人での歌唱が披露された。


18 えがおのままで

本作トロプリ、トロピカる部を総括する一曲。

ラス曲らしくしっとりとバラード……からのCサビでいきなり速くなり、いつものトロプリらしいテンションに戻る。本当にこの作品の楽曲はコンセプトが一貫している。


MC

ステージ上の3人で記念写真

北川理恵 プリキュアシリーズとの長い関わり

Machico プリキュアのうたのMV、デパプリ衣装着て地元呉市で録った話


19 Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア

近年のOPだと結構好きな本曲。

メロディがまぁ〜良く、構成もお約束感があり、Machicoの甘く楽しく力強く特徴的で心地良い欲張りなヴォーカルも、如何にもプリキュアの華々しいOPって感じ。

「これから、始まるんだ。プリキュアの宴が」というワクワク感、エグい。

当然高揚しない筈がない。


20 DELICIOUS HAPPY DAYS

イントロのベース気持ち良すぎだペェ…(唐突なペギタン)

踊る、身体を動かす、多動するのに完璧なベースライン。気持ちよくユラユラクネクネする。

ご飯を食べたら運動だよね。踊ろう!


21 Delicious Ambitious!

速さ・激しさの中に後期ED・ココロデリシャスらしい清爽さを併せ持つ総括曲。

2人のヴォーカルの軽妙な掛け合いが高まりの極致へと誘(いざな)う。


MC

石井あみが物販の光るブレスレットを光らせ続けていた話

石井あみはツッコまれまくる超天然キャラ

タオル曲(?)やるからみんなタオル振って


22 レッツ!fun fun time!

映画デパプリの3DCG短編の主題歌。目まぐるしい展開のお子さまドリーミアはよく覚えていたが、こっちは印象が薄く、本ライブでタイトルコールされた際「あ〜そんなのあったわ」という気持ちになったことを覚えている。少し申し訳なく思うも、後述の"事件"で、この曲は強く印象付けられることとなる。


Take1

イントロのベルみたいな音がよく聞こえず入りの歌い出しを完全にミスるアクシデント。

思わず"もう一回やらせて"と曲を止める演者。

そこからの立て直しまでのMCが怒涛だった記憶、Machicoが「最初の『ティンティンティンティンティーーン』って音だけ聞かせて」「心の中でワーッ!ってなって」みたいなことを超早口で言ってた。


Take2

ちゃんと歌い出せて、サビで優しくタオルを左右させる。

タオル曲か?タオル曲ということにしておきましょう。

多くのプリキュア本編のEDと比してもかなり「エンディング」らしい落ち着きと寂しさを含む余韻を持った曲で、作品が旧→新と進んできたこともあり、そろそろライブも終わりかなと気付かされる。


お子さまドリーミアもそろそろまた聴きたいなぁと思ったらR6.1月の20周年ライブに後本萌葉が来ると発表され、静かにガッツポーズ。


MC

次で最後の1曲→今来たばっかり〜!

ライブが続いて欲しすぎて「あと3日」って叫んだら演者にめっちゃ拾われました。私です。すみませんでした。

実際あと3日どころか6日くらいやって欲しかったんで許してください。1週間毎日ライブしましょう。


23 ヒロガリズム

ひろプリ、OPも好きならEDも好きで、特にEDの本曲は作編曲の方の感性?勘所?が私と似ているのか終始刺さりっぱなしで毎日ヘビーローテーションしてます。

まず、イントロがいい。しっかり心を握られるキャッチーなブラスに、シャレオツな裏がアクセントのブレイクが何度も挟まり「いい曲が始まる予感」がムンムン。近年のいいとこのJ-POPアーティストが作った、アルバムにだけ収録される「一般人にはそんなに知られてないけど、ファンからは"ライブで盛り上がる"と評される、隠れた人気曲」って感じが漂う。

歌い出しのAメロは楽しく、Bメロの入りは一転、フック的な狙いのありそうな哀愁パート、ブレイクのブラスがまたいい。いいんだこれ。サビは元気ながら出口は少し静かになるので「まだ聴きたい」と思わせる余韻がある。やめられない止まらない、かっぱえびせんかよ。

溌溂としつつも少し寂しい、これが実にプリキュアの"エンディング"お別れのテーマらしく、素晴らしい。

何故か間奏でエレキが超暴れてたり、Cメロ明けのブリッジのメロディは本当に頭に良く残るし、的確に私の好きポイントを突いてくるんです、この曲。


本ライブでは石井あみと吉武千颯の煌びやかなツインヴォーカルに舌鼓を打ちつつ、2番Bメロの「あの雲ももうすぐ茜色〜」でいきなり「今日が、ライブが、終わるんだな」とシュンとさせられたり、ライブの数日前愛媛県で見た瀬戸内海に沈む夕陽を思い出してエモくなってみたり。

空を飛び、陸を走り、海を渡り広島にやってきた思い出がいい音楽と共にバーッと去来していました。


はぁ。いい曲。またひろプリライブとか今後のライブでも浴びさせてください。


一旦ハケ アンコール

めっちゃ元気の良いオタクがいて「アンコーーーール、イグゾ〜〜〜〜!!プーリッキュア!プーリッキュア!……」とめっちゃデカイ聲でアンコを先導していた。

今思えばそのオタク3公演全部来てた。


再登壇後は4人の感想。

MCの内容あんま覚えてないけど北川理恵がめっちゃ他の人のMCの時に泣いてて、釣られてみんな泣き出す。そして1人だけめっちゃニコニコのMachico。平常心。

石井あみプリキュアで歌手デビューした話。

ティッシュを取りにダッシュする北川理恵。

吉武千颯が"おじいちゃんが来てて、おそらく人生初ライブじゃないか"的なことを言ってて、いやぁ、いい孫に恵まれましたね……


EN シェアして!プリキュア

ヒープリ好きなので、ヒープリのボーカルアルバムにポッとVo.五條真由美の本曲が入り、驚いたことを覚えている。

聴いてみると今までならオールスターズとかで流れていたような汎用全体曲で、メロディは超いいし、順当にテンション上がるし、歌詞もひたすら前向きだし、「世代を超える〜」とかあるし、作品イメソンとしてヒープリのアルバムに収録されるだけで終わりというのは勿体ないな〜とか思っていたが、その懸念は杞憂に終わる。

歌詞の通り世代を、作品を超え、近年のプリキュアシンガー皆がこの曲を歌っており、所謂「永遠のともだち」「キラキラkawaii」「ガンバランス」のような曲であったと、後に追認される。


コロナ禍でお流れになっちゃったオールスターズ系映画に向けて用意した曲だったのかな…とか穿った見方をしてしまうが「恐怖に立ち向かう・恐怖を打開する・恐怖に震える者の手を取ってあげる」といった意味合いの歌詞が本曲のリリース当時の状況、即ち「コロナが全世界を得体の知れない恐怖と混乱に陥れていた状況」からの打破を、またその他の歌詞も"何気ない、しかし幸せな日常"への渇望を描いている部分が明白に見受けられ、コロナを意識した新録という方が自然だろう。


メロからサビへ向けどんどんテンションが上がっていく構成、コテコテなんだけど燃えてきちゃうんですよね。

メロディが終始秀逸でどこを切り取っても絵になる上、緩急もあり聞き飽きないスルメ曲なので、是非皆様もご一聴ください。


アンコらしく客席の左右共良く見えるよう演者が入れ替わりながら、自由に動きながら歌われる。

4人全員歌唱でのオーラスシェアプリ、落ちサビの恍惚感が異常。あらゆる憑き物が落ちる感じがした。

 

歌い終わり〜終演

会場内顔見せ ありがとう〜→ハケ

ハケ後4人で終演アナウンス

4人で広島弁「ほいじゃあね〜!」

万感の、鳴り止まぬ拍手。ライブで喰らいすぎて放心してるオタク、興奮気味に話してるオタク、笑顔で粛々と荷物を片付けて帰り支度をするオタク…

 

プリキュアらしい楽しいコーレスが出来るようになった声出し復活のライブは、想像以上に濃密で、終演直後に「大阪ではオルスタになる上一番プリキュアにドハマりしてた中10年の曲やるとか、生きて帰ってこれるだろうか」などとうすぼんやり考えていた。

 

ライブを終えて

仲間とODSで軽い打ち上げの後、そのまま広電で各人のホテルにほど近い繁華街へ。

夜遅い時間でも空いてる店を調べてフラッと入った「修竜」さん。

出るもの出るもの全部がメチャクチャに美味しく、全員口を揃えて「美味い」を連呼。多分次に広島行った時もこの店寄ると思う。

ライブ後や旅行ということを抜きにして、普通にキムチとかホルモン焼きうどんとか出てくるものの全てが絶品だった。しかも(大所帯だったからかもしれないが)会計したら想像より遥かに安く、2度3度衝撃を受ける。

お好み焼きもいいんですが、ホルモン焼きうどんが本当…凄まじい美味しさで…

 

セイク(酒)でCheers! デリシャスなパーティになりました。

 

結局1時近くまで飲み、深夜の広島市中心部を歩いてホテルへ。

見慣れない旅行先の街を深夜に歩くのが大好き。終電など気にすることなく、寝静まった街を歩く時だけは、自身は余所者・ただの旅行者ながら「その街の一番濃ゆいところ」に溶け込めたような気がする。

 

軽くシャワーを浴び、興奮の中マスクがブッ壊したTwitterに感想を書きまくり、この投稿の元になったMCメモや覚えてる限りのセットリスト、出来事をメモしつつ寝酒を入れ、寝落ち。

すこぶるベッドが快適なホテルで、泥のように眠ってたらもう旅行最終日の日曜。ニチアサ?寝坊じゃい。東京で録画してあるから許して。

 

最終日はスカイレールに乗りに行き、広島空港からまたもやJALで羽田へ。

めでたしめでたし

 

感想

狭めなライブハウスでやるプリキュアのライブ、良い…

演者と近い無銭イベの延長にそのままライブがあるような錯覚に陥り、いつだかこんなステージ観たような〜というデジャヴがあったり、演者の熱、フロアの熱が互いに密に感じられたり、本当にプレミアムな時間でした。

ライブが好きで、プリキュアが好きな私への、大きな大きなプレゼントだと勝手に思ってます。

 

そしてライブサーキット!チケ代が!!安い!!!手数料やらなにやら入れても大体7100円!!!!!

こうでなくっちゃ!!!

と言いながらもプリキュア20周年ライブはS席14000円でも平然と行こうとしています。

働けってことですね。お仕事うんと盛りだくさん。

 

大阪・東京もセットリストが公開されたので頑張ってまた感想を書きたいんですが、しばらく休日出勤が続く上オールスターズFも控えてるので気長にお待ちください。

大阪も東京も感想の叩き台となるメモは残してありますので、忘れないうちにアウトプットします!

 

ひろプリライブ、そして20周年ライブでお会いしましょう。

かしこ

競馬ブームが来ました。

ようやく時代が私についてきたという気持ちでいっぱいです。


実は私が競馬を本格的に始めたのは2018年4月辺り、アーモンドアイの桜花賞とかその辺なので、まだまだ競馬歴は若干3年です。

最初によく使っていた予想法はもうシンプルにタイム。持ち時計とスピード指数でした。

次に馬場読みを覚え、調教と血統とパドック気配を組み合わせた予想に変化したのがその夏。

夏競馬で当時未勝利だったトーラスジェミニの調教一変を察知し、9人気1着で三連単73000円などなどを取ってから更にどハマりしてしまいました。


2018年は中央がギリプラスで102%、闇雲に地方もやってしまい地方が88%と総計でいえば回収率はマイナスでしたが、この経験で馬券を買う際の心得が出来ました。


「目先のレースを追いかけない、勝てそうな要素のあるレースだけやる」

「今日の負けを今日取り返そうとしない」

「穴と本命狙いに引っ張られすぎず、常にフラットな視点でだけ馬券を買う」


とにかくこれだけです。

3点目について、具体的には

負けが込んでくると極端に思考が穴寄りになったり、勝っていて勝ち分を更に増やそうとすると本命寄りの思考になったり…というブレをなくすという意味合いです。


基本的にはしっかりとした狙いの知識さえつけば、穴馬を狙い続けた方が回収率アップに寄与するかと思います。

ガチガチレースはリスクの割にリターンも少ないですし、万一が平気で起こるのでやらない・賭けすぎないようにしています。


2019年からは各競馬場のラップデータや厩舎の力関係、傾向なども頭に入り、割と今の予想スタイルに近い総合的な予想ができるようになりました。

そこに至るまでひたすら休日に競馬をやり続けたりデータ本を読んだり、レースデータを見たり…という積み重ねを続けた賜物かとは思いますが、普通の人はまずそこまでやらないかと思います。


その結果2019,2020は年間プラスで走り抜けることができ、今に至ります。


最近では昨年の夏頃に"走法"を気にするようになってから特に芝ダート変わり・不良馬場といったところにおける精度が高まり、もう一段予想を押し上げられるようになりました。



根っからのオタク気質で、好きなことに対する勉強が苦じゃなかったためここまで競馬にハマった感じがします。

所詮ギャンブルなのでハマりすぎないように!

2020.1.11 ユニパレ 愛知公演に行きました。

表題の通りでそれ以上でも以下でもありません。

 

正直、前日まで全く気乗りしていませんでした。

どうして、一度「終わらされた」はずのユニットが、過去への釈明もなく再度思いっきり出てくるのか?

歌唱担当は今でも好きですが、もう他界した作品の楽曲を聴いて何を感じるのか?

オルスタの地下箱なのにチケ代めっちゃ高くない?

 

行くモチベーションを支えていた最大の理由は「2014年、2015年なんかから一緒に足繁く歌唱担当現場に通ったオタクと、また旅行ができるから」

愛知に住んでいるオタクも来るらしいし、それなら同窓会気分で行ってくるか。それくらいの気持ちでした。

 

道中は割愛し、開場3時間ほど前に会場前に到着すると、まだその時は人もまばらで特に思うところはありませんでした。

早目に来ていた別の方々と落ち合い、近所のホテルに荷物を置きにチェックインし、開場20分前に再度ハコに戻ると、そこで少し「往時の雰囲気」を感じました。

オルスタらしい身軽なオタクが多く、2016年頃までの歌唱担当現場に感じた「ドル現場ともアニメ現場ともつかない、チャンプルーされた自由で闊達な現場」「心の底からライブを楽しめる現場慣れした人種が多い」という雰囲気を、なかなか整列が揃わない面々から感じたのです。

 

入場から45分も待ちようやく開演すると、直感的に感じていた勘は「正しかった」ことが即座に証明されました。

騒ぐやつ、棒を振るやつ、踊るやつ、跳ねるやつ、頭を抱え号泣するやつ…

この「自由なサラダボウル」

これが見たかった。これがやりたかった。これが最盛期の歌唱担当現場だ。

 

紋切り型の画一的に作られた雰囲気ではなく、一部お決まりのようなコールなんかがありながらも、おおよそ各自が自由に、思い思いの方法でステージを楽しむ。

かといって極端に荒れているわけでもなく、オルスタのライブなら強い曲が来たらこれくらいあるよね、というくらいのモッシュやうねりが起こる程度。

静かに見たい人は端に寄ったり後ろでバーカンのドリンクを飲みながらゆったりしていたり、興奮の渦にまみれたい人は人の波を押し分けて前へ進む。

全体としては、1曲ごとに歓声がこだまする熱量へと昇華されるフロア。

 

この雰囲気に呼応するかのように投下されるセットリストも、まるで過去の単独ライブにトリップしたかのような「最初と終盤に表題曲、後は作品の流れ通りに劇中歌中心」という組み上げ。

セットリストは貼るのが面倒なので各自AIKATSU☆STARS!全盛期にもたくさん目にした、公式の「Excel直打ちセトリ画像」をご参照ください。

それでいて、無印、スターズ、(フレンズ)を跨いで曲が披露されるため、さながら武道館を縮小し、ミュージックフェスタのオルスタらしい自由さを加えたような、ステージもフロアも集大成と言わんべき雰囲気に仕上がっていてとても良かったです。

 

ユニット卒業という事象への疑念は晴れていませんが、今回のライブはあまりうるさくないレギュレーション周りや構成を含めて

「昔の歌唱担当のオタク」に対する「鎮魂」なのではないかと感じます。

 

2015年のSTAR☆ANISワンマンラッシュやMF2016、その時期のアニスかスターズが出演したコンピレーションライブ(対バン)の雰囲気が好きだった人は、きっと今回のツアーがハマると思います。

 

もう「私が好きだった歌唱担当現場」が戻ってくることはないと思っていましたが、いい意味で期待を裏切られました。

全員緩やかな一体感がありながらも個性が異なるという、「あの作品」の作中で雄弁に述べられている雰囲気が、そして勢いが、この現場にはありました。

 

最近足が遠のいてた人も、もしよかったら来てみてください。チケットは激戦だしやっぱりちょっと高いですが…

憑き物が落ちたかのように、楽しかったです。

 

 

あと演者や楽曲に対する感想を少し述べますと…

わか様の縦横無尽なフロア煽りが健在で一撃でやられました

松岡のソウルマリオネット、お前…

ドリームバルーンでふうりさん(小さい)が虹をくぐる伝統芸で号泣

新チョコを「踊れる人間」は本物の信用

 

こんなところです。

ではまたどこかの会場でお会いしましょう。

 

*1/17追記

レギュ強化されました。

実効力はあまりなさそうですけど、落ち着きそうですね。

モッシュと勘違いしたタックルがなくなればいいです。

アイカツフレンズ! 1年目を終えて

大変長らくご無沙汰しております。北大路さくらです。

前の記事を書き終わっていないのに(力尽きた)新しい記事を書くなど行き当たりばったり感が否めませんが、放送から1年が経っての感想を記します。

書き物をするにはコーヒーと紅茶をそれぞれマグカップ1杯ずつ投入しないとカフェインブーストがかからないのでなかなか厳しくて…

 

評価軸

感想を考えるにあたって思い返すポイントは3つ

1.キャラクター

2.ストーリー

3.楽曲

厳密にはこの3つは相互に作用しているので分けて語るべきものではないのかもしれませんが、読みやすさのためにもざっくりと分けて記述することとします。

 

1.キャラクター

2人1組の「フレンズ」というシステムの恩恵、程良い登場人数もあってか、ほとんどのキャラクターの情報が早期にしっかり頭に入ってきました。

メインのアイドルが

あいね・みお・エマ・舞花・さくや・かぐや・カレン・ミライ この8人。

程々に登場するサブキャラが

ココ・たまき(マネ)・ケン(メイクとレッスン)・千春(ドレスデザイナー)・ぺんね

この程度ですかね。

 

前作「スターズ!」では1年目のうちアイドルだけで

ゆめ・ローラ・小春・あこ・真昼・ひめ・ツバサ・夜空・ゆず・リリィ・(結城すばる)・(芦田有莉)

と、物語の本線に関わってくるキャラクターでこの量。

少なく見積もって10人、それに結城すばるが特に多いですがM4なんかもガッツリ出しているので明らかに描写不足でした。出し方も最初にワーッとかなりの人数を見せてしまった上にユニット制などではなくほとんど個別にキャラが「独立」していたため、今後1人ずつ説明回があるとはわかっていても「今覚えておくべき情報か否か」の取捨選択ができず気持ちが散らばってしまった気がします。

また、キャラとキャラの関係性(ライバル・親友・会話相手・恋敵・師弟関係…)もかなり複雑で全体像を把握するまでに少し労力を要しました。

体感では「episode Solo」という曲名が示すように、1人1人のキャラクターとしてのキャラ立ちが強いためまずは個人の掘り下げを、そして他キャラとの関係性をと「語るべき内容」「語って欲しい内容」が多かったのですが、主人公格以外は時間的制約もあり出てこないことが多くちょっと描写不足かなと感じるところがあります。

 

 

初期の無印アイカツ!1年目では

いちご・あおい・蘭・おとめ・ユリカ・北大路さくら・かえで・美月

ジョニー別府・織姫学園長・星宮りんご

この辺りを抑えておけばよい上、最初はいちご・あおい・美月の3人に始まり、基本的に説明回兼登場回で1人ずつ増えていくので注目キャラへの意識が散らばることなく無理がなかったです。

また、関係性の構造が

憧れ:(マスカレード)>美月>その他全員

普段:大体何事もいちごが中心にいる

とわかりやすかったため、殆ど余計なことは考えなかったです。

 

話が脱線しますが、この辺りの違いが今でも根強くスターズの二次創作が盛り上がっている要因になっているのですかね。

関係性のベクトルがかなり多地点・多方向に分散しているので、それぞれのお気に入りがあったり、他の関係性との結びつきを創作したり…広義の群像劇のようなイメージで、起終点が沢山あります。

私はその為に「もっとここ掘り下げて欲しかった」という思いが結構強いのですが…

 

 

さて、話を本題のフレンズに戻して。

フレンズは当初あいね・みお・カレン・ミライの4人体制で始まり、早期にエマ・舞花が合流。少し空いて、といえどもそこから数ヶ月でさくや・かぐやが合流しこれでメインアイドルは打ち止め。2クールを終える前にアイドルが総登場します。

1年が経過して、表題にもなっているのだから当然かもしれませんが、2人1組の「フレンズというシステム」の恩恵を強く感じました。

 

登場は1組=つまり2名のお顔見せとさわりを1話で済まし、個別回を2回(人数分)やってという形なのですが、フレンズというシステム上個別回にも基本的にフレンズの相手(の話)が自然と出てくるため、キャラクターのパーソナリティをシステマチックな説明だけでなく、フレンズの相手との関係性・相手の言葉からも相互に掴むことができます。

・毎週新キャラを2名同時進行で見せ続けられる

・フレンズの相手との対比でより鮮明にキャラクターの輪郭を捉えられる

印象としてはこう。

結果として最初からロスなく、そして効率的にキャラクター付けをこなせたのかと思います。

 

更に関係性もわかりやすく「フレンズを組む2人」「フレンズと別のフレンズ同士」でベクトルが描かれることがほとんどなので、実質的にベクトルの数をキャラクターのおおよそ半分まで落として物語を理解することができます。

基本的にアイカツフレンズ!に登場するアイドル個人は(自身のフレンズ以外)相手によって態度を変えたりといったことがないので、フレンズをまたいだ個人間のことは特に考えず、ニコイチのフレンズ間の関係性だけで殆ど完結します。

この辺りのシンプルな構造も、キャラクターを理解していくためのハードルが低く心地良かったのかなと思います。

ここまでほぼ描かれていないフレンズをまたいだ個人同士の関係性については、必要ならば時間的余裕ができるであろう2年目にやればいいですし、ないならないで構わないかなという考えです。

公式がお腹いっぱいフレンズ内の2人の痴話喧嘩やら新婚生活を供給してくれるので、現在の供給分で十分だと考えています。

またフレンズ外の別の個人への感情はフレンズ間の感情を超えることは理論上ない(ストーリー的にフレンズを解消するとかなら話は別ですが)ので、描くだけフレンズ関係の下位互換で野暮ったい気がします。

 

 

ここまではキャラクターの登場のさせ方に焦点を当ててきましたが、いわゆる「キャラ萌え」的な、もっと単純に個別のキャラクターを見た時の印象についてを。

この辺りは過去記事でも語っているのですが過度な補正でヘイトを集めがちな主人公ポジションをほぼ嫌味なくこなした友希あいねという人間のシンプルな魅力と、正妻ポジションにいたい陰キャ・湊みおの内向きすぎるオタク思考など十分にキャラクター個人も面白いです。

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ゴシック姉妹のかぐやのように批判的・常識的な態度が際立つ(但し姉のことになると非常識な部分が垣間見える)スパイスキャラがいたり、狙ってピエロ役をやりながらも全ての物事を鳥瞰している群像劇におけるジョーカー的な明日香ミライがいたり、ドジな人工知能がいたり、一般的な作品と同じレベル程度には推しキャラは見つかるかと思います。

私はずっと神城カレンが好きです。

 

2.ストーリー

1年終えてのストーリーを大まかに思い返すと

「全体を通した印象で見ると面白いが、点で見ると不可解な部分もあった。」という感想です。

結果までの過程や選択などある程度不条理に感じることもあるのですが、1年終えて頭に残っているのが、毎週のように見せられて最も印象が強い「フレンズ内の夫婦喧嘩・ノロケ」であり、また成長の成否が兎に角フレンズの関係が強固になるか否かに殆ど懸かっているような見せ方であったことから、個別具体的な勝因・奮闘は結局よくわからないながら、フレンズという関係性の謎の勢いで押し切られてしまった感じです。

「特訓シーンを描くよりは、相方を中心とした他人との関係性の変化で突破口を見つけ、そして相方との関係をより強固にして強くなった。」と見せる方向性だったので、そこは巨人の星みたいなシーンが好きか、人間同士の絡みが好きかの好みの問題かなと思います。

とにかくフレンズの2人のイチャラブが力の源泉っぽいので、そういうものだと思って見ていました。

 

ちょっと不自然に感じた点を考えてみると

「結局ラブミに勝った理由であるトモダチカラってなんだ?」と考えてしまうと、ガッツリ説明回もあった謎の力である「ラブミーゾーン」と比べより曖昧な概念なので理由付けとしては弱いと感じたり…

特訓・試練の描かれ方が無印・スターズよりもマイルドなために、鬼気迫るものを持つラブミを超えた理由がわからないとか、やはり逆境に瀕して特訓による成長という流れに慣れていたが故に違和感を抱く場面が多かったです。

特に序盤は描かれる逆境の強度と解決法がハニーキャットの方が強く脳筋的なことが多く、物理的にハニーキャットの方が強そうなのになんかいつの間にかピュアパレットに負けてるんだけど…みたいな思いがありました。

あいね個人が成長した原動力は湊みおを始めとした友達(周囲)の期待に応えるということなのでしょうが、「既にある程度の成功を収めているが今ひとつ殻を破りきれない」という境遇で高い壁にぶち当たりがちだった湊みおと比べ、素人だったあいねが湊みおと肩を並べるための個別具体的な大きな壁に突き当たる場面が少なかった上、成長のための練習シーンなどが甘めだったためにこう感じたのかなと思います。

この辺は「スポ根が強い」みたいな捨象することができない過去作の方向性に引っ張られているので、新しく見始めた人にとってはあまり問題にならないのかなと思います。

 

この辺りの関係で「ハニキャの桜庭ローラ的な敗走」がないのは評価したい見せ方です。

桜庭ローラのイメージが「同じ目標を目指し、同じような環境にいて切磋琢磨し、でも主人公に負け続け、最後は『我が道を行く』というお題目のもとに別の方向へ敗走させられる」という結構最悪に使い潰されたイメージで、ここに憤りを感じていたのですが

ピュアパレとハニキャは同門ながら直接対決も少なく、またダイヤモンドフレンズになるという以前に、また負け始める以前に、もう最初から向いている場所が違う(アプローチが違う)という印象を持てたので、「ご都合的に負け続け目線を変えさせられた」ように見える桜庭ローラのような後味の悪さはなく、「別のアプローチから力を付けていったが及ばなかった。しかしもちろんこれからも自分たちのやり方で行く」と素直に受け取ることが出来、納得感があります。

 

他の違和感はココちゃんのステージやるやる詐欺とか

何でリフレクトムーンはそんなにバックボーンもないのに最初からこんな強いんだよとか(但しリフレクトムーンは強さの源泉・目標みたいなのが最後までよくわからず、それが故にDFCで負けても納得感があった。)

こんなところですかね。

なんかリフレクトムーンだけ最初から別のところにいた気がします。

 

総評すると

「個人の成長物語というより、婚約者や他者との関わりからもたらされる多人数の関係性の物語が好きか否か」「公式から与えられたカップリングの範疇で満足できるか」これにより評価が分かれるかと思います。

 

 

3.楽曲

メインターゲットとなる女児層から見てお姉さんに当たる中〜高生の間でK-POPが流行っているのでそこに寄せて行こうとする考え、近年流行の音楽をやろうという意思が汲み取れます。
 
基本的に広義のEDM・Tranceが大半を占め、OPと表題曲など顔になりそうなものだけ普通のアニソンっぽいバンドドラムにコード、作曲陣の違いからもゴシック姉妹は少し毛色が違う(といっても打ち込みの速い曲があるが)という感じ。
打ち込み系の中でも特に耳障りが優しい音楽は少なく、割とハード目なサウンドが使用される傾向があります。
バンド・オケなどの生音系音楽はおけまるを除いて最後までほとんどありませんでした。
 
全体として、K-POPが好きなら楽しめるかと思います。
無印・スターズまでの兎に角ひたすらに幅が広かった音楽を期待するとがっかりするので、そこは今の流行りに乗せているってことで。
 
結局のところ「個人の好み」に帰結するのですが、楽曲の多様性とクオリティに心を射抜かれてアイカツ!にハマった人間なので、私は合わなかったです。
楽器を用いた曲でいつも同じドラム・ベース・ギター・ピアノ音がするとかなら原理的に当然わかるのですが、打ち込みながら楽曲をまたいで大体似た・同じ音色で、提供されるサウンドの品数が少ないとか…
また一部の楽曲はなんのシンセ使ってんだこれみたいな本職の楽曲からすると安い(伝われ)サウンドで、それに追い打ちをかけるかのように余計なところで意図があまり感じられないこれも安い修飾音を足してうるさくなっている、足し算に失敗した感じのものなどがあり(さらに和音・コードも破綻している)、正直言ってあまりCDを聞いていないものもあります。何の曲かは名言しませんが。
 
また、大体どの曲も緩やかに始まってサビにピークがある定石のような作りで、イントロから引き込まれる曲もほとんどないです。
ハローハロー・SDS・STARDOM!などの楽器1つの音だけで始まった途端「エモーショナルが来る」と本能的に理解させるイントロ、ダイヤモンドハッピー・ドリームステージ☆のような感情が昇天する幕開けを高らかに宣言するかのようなイントロ。
このような感情の爆発をもたらすイントロがほとんどない。
 
「『ハローハロー』の冒頭8秒に、束になったフレンズの楽曲は勝てるか?」
 
強いて入りが好きだなと思うのは個×個とラブミの2曲か。
通好みだなと思うのはゴシック姉妹の導かれてとシンクロハーモニーのクラシックのサンプリング。
単純に好きなのは今までありそうでなかったフェスでピークタイムに掛かりそうなAnthemタイプのGirls be ambitious!
 
フレンズの曲って通しで何回か聞いていってやっとその曲の輪郭が見えてきて「いい曲だな」と思える曲が出て来ることは確かなのですが、感情のブースターとなりうるものは今までと比べて多くないだけに、評価は渋いものにならざるを得ません。
 
他方、キャラクター・フレンズの持つテーマと楽曲の親和性は非常に高く、キャラのイメージ通りの楽曲が寄り添っていることは狙いとして感じられます。この部分に関しては歌詞を1名がずっと書いていることもプラスに作用しているかと思います。
あいね…メジャーアイドルらしい王道のイメージとしてのアイドルソング=ありがと大丈夫
みお…クールで1歩先を行くセンスの良さ、ファッションリーダー感=6cm上の景色
エマ…明るくて楽しいいつも元気なキャラ=おけまる
舞花…熱さ、フェス命=Girls be ambitious!
などなど
フレンズで歌う曲もラブミは完璧に、他は大体メンバー片方ずつのイメージに寄せて「確かにこの音楽はこのフレンズだな」と割とわかりやすい色合いが付けられています。
今作で見せた最も重要なものが「最大2名のカップリングの中の関係性」である以上、楽曲によってその関係がより強く浮き出てくるように感じられたのは見せ方として成功なのかなと思います。
 
しかしながら、それでも過去作における多様な楽曲の担保である、一回ポッキリのテーマ曲を繰り出すことが求められたドラマ回にファッションショー回を捨象し、また全員でユニットを組んで歌うということもなかったため「フレンズという枠の外に出てくる曲がない」のかなと思うと寂しいです。
「キャラクターのためにこういう曲を作りました。」ではなく「とりあえずザックリとテーマに沿って面白い曲作っといたから四の五の言わずに聞け。」みたいな関係性とかを超越したところにブッ飛んだ音楽が生まれてくる枠がドラマ回・ファッションショー回・新規ユニット回だっただけに、少し調和を破壊するジョーカー的イレギュラーを見てみたいです。右回りWonderland・新チョコ・ロングラ・ラブリーボム・Hey! little girl・ドリームステージ☆・君をロックオン…個性的な楽曲は源泉があるからこそ生まれたものです。
 
フレンズの関係性以外に描写を広げることがなかったが故に人間ドラマに納得感と説得力が増して内容が濃密で面白く感じられたと思う反面、楽曲的にはもう少し冒険する機会が欲しいです。
 
 

総括

ここまで結構いろいろ言っておきながらも内容は割と楽しく感じられているんですよね。
何度も文中で使用した「フレンズの関係性」をひたすら掘り下げていくのが好きなんだと思います。
 
見ていてココちゃんのステージがないこと以外はほとんど不快になることもないので、快適に見れる作品です。
 
2年目も期待しています。